けんざん制度で決まった金額を、条番号つきで計算する

退職所得と退職所得控除の計算

退職所得とは、その年中の退職手当等の収入金額から退職所得控除額を差し引いた残額をもとに金額を計算する所得である(所得税法第30条第2項・第3項・第6項)。

勤続年数から控除額を出し、一般・短期・特定役員のどれかで2分の1にするかどうかが変わります。

計算する

1年未満の端数は切り上げる(所得税法施行令第69条第2項)

計算例

下の例はこの画面の計算そのもので出しています。 入力を変えると同じ形で計算します。どの行がどの条文から来たかを、行ごとに出しています。

既定の入力

退職金の収入金額 20,000,000円/勤続年数 30年/区分 一般の退職手当等/障害者になったことによる退職 いいえ

項目金額条番号
退職所得控除額15,000,000円所得税法第30条第3項第2号
退職金 − 退職所得控除額5,000,000円所得税法第30条第2項
退職所得の金額2,500,000円所得税法第30条第2項(一般退職手当等)
  • 勤続年数の1年未満の端数は1年に切り上げる(所得税法施行令第69条第2項)
条番号
所得税法第30条第2項・第3項・第6項
適用
退職により一時に受ける給与
出どころ
所得税法(昭和四十年法律第三十三号)
適用年度
所得税法 2026-08-12 施行(改正版 340AC0000000033_20260812_508AC0000000064)
取得日
2026-08-31

この計算は 2026-08-31 に取った条文で動いています。 それより後に改正があれば、反映されていないことがあります。所得税法 で今の条文を確かめられます。

条文

所得税法(2026-08-12 施行)から取りました。1506字。

この計算が使う条文は、2024年4月1日時点と1字も違いません。 比べたのは条文の文字だけです。答えが同じことまでは確かめていません(比べ方)。

所得税法第30条第2項・第3項・第6項 を開く

(退職所得)第三十条退職所得とは、退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与(以下この条において「退職手当等」という。)に係る所得をいう。2退職所得の金額は、その年中の退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額の二分の一に相当する金額(当該退職手当等が、短期退職手当等である場合には次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とし、特定役員退職手当等である場合には当該退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額に相当する金額とする。)とする。一当該退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額が三百万円以下である場合当該残額の二分の一に相当する金額二前号に掲げる場合以外の場合百五十万円と当該退職手当等の収入金額から三百万円に退職所得控除額を加算した金額を控除した残額との合計額3前項に規定する退職所得控除額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とする。一政令で定める勤続年数(以下この項及び第七項において「勤続年数」という。)が二十年以下である場合四十万円に当該勤続年数を乗じて計算した金額二勤続年数が二十年を超える場合八百万円と七十万円に当該勤続年数から二十年を控除した年数を乗じて計算した金額との合計額4第二項に規定する短期退職手当等とは、退職手当等のうち、退職手当等の支払をする者から短期勤続年数(前項第一号に規定する勤続年数のうち、次項に規定する役員等以外の者としての政令で定める勤続年数が五年以下であるものをいう。第七項において同じ。)に対応する退職手当等として支払を受けるものであつて、次項に規定する特定役員退職手当等に該当しないものをいう。5第二項に規定する特定役員退職手当等とは、退職手当等のうち、役員等(次に掲げる者をいう。)としての政令で定める勤続年数(以下この項及び第七項において「役員等勤続年数」という。)が五年以下である者が、退職手当等の支払をする者から当該役員等勤続年数に対応する退職手当等として支払を受けるものをいう。一法人税法第二条第十五号(定義)に規定する役員二国会議員及び地方公共団体の議会の議員三国家公務員及び地方公務員6次の各号に掲げる場合に該当するときは、第二項に規定する退職所得控除額は、第三項の規定にかかわらず、当該各号に定める金額とする。一その年の前年以前に他の退職手当等の支払を受けている場合で政令で定める場合第三項の規定により計算した金額から、当該他の退職手当等につき政令で定めるところにより同項の規定に準じて計算した金額を控除した金額二第三項及び前号の規定により計算した金額が八十万円に満たない場合(次号に該当する場合を除く。)八十万円三障害者になつたことに直接基因して退職したと認められる場合で政令で定める場合第三項及び第一号の規定により計算した金額(当該金額が八十万円に満たない場合には、八十万円)に百万円を加算した金額7その年中に一般退職手当等(退職手当等のうち、短期退職手当等(第四項に規定する短期退職手当等をいう。以下この項において同じ。)及び特定役員退職手当等(第五項に規定する特定役員退職手当等をいう。以下この項において同じ。)のいずれにも該当しないものをいう。以下この項において同じ。)、短期退職手当等又は特定役員退職手当等のうち二以上の退職手当等があり、当該一般退職手当等に係る勤続年数、当該短期退職手当等に係る短期勤続年数又は当該特定役員退職手当等に係る役員等勤続年数に重複している期間がある場合の退職所得の金額の計算については、政令で定める。

退職所得の金額は、退職手当等の収入金額から退職所得控除額を引いた残額の2分の1に相当する金額である(所得税法第30条第2項)。ただし短期退職手当等と特定役員退職手当等については、2分の1にしない部分がある(同項)。

退職所得控除額は勤続年数で決まる

勤続年数退職所得控除額条番号
20年以下40万円 × 勤続年数所得税法第30条第3項第1号
20年超800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)同項第2号

勤続年数に1年未満の端数が生じたときは、これを1年とする(所得税法施行令第69条第2項)。

80万円に満たないときは80万円になる

第3項の計算で出した金額が80万円に満たない場合は80万円とする(所得税法第30条第6項第2号)。勤続1年なら40万円×1年=40万円だが、80万円になる。勤続2年は40万円×2年=80万円なので、この定めは効かない。

障害者になったことに直接基因して退職したと認められる場合で政令で定める場合は、上の金額に100万円を加算する(所得税法第30条第6項第3号)。80万円に満たない場合は80万円としたうえで加算する(同号)。

前年以前に他の退職手当等の支払を受けている場合は、控除額を調整する(所得税法第30条第6項第1号)。このページはその調整を含んでいない。

2分の1にするかどうかは3つに分かれる

区分退職所得の金額条番号
一般の退職手当等(収入金額 − 控除額)× 2分の1所得税法第30条第2項
特定役員退職手当等収入金額 − 控除額(2分の1にしない)同項かっこ書き
短期退職手当等で残額300万円以下残額 × 2分の1同項第1号
短期退職手当等で残額300万円超150万円 +(残額 − 300万円)同項第2号

特定役員退職手当等とは、法人税法上の役員、国会議員・地方議会議員、国家公務員・地方公務員としての勤続年数が5年以下である者が、その年数に対応して受ける退職手当等をいう(所得税法第30条第5項)。

短期退職手当等とは、役員等以外の者としての勤続年数が5年以下であるものに対応する退職手当等で、特定役員退職手当等に当たらないものをいう(所得税法第30条第4項)。

退職所得は他の所得と分けて計算する

所得税額は課税総所得金額と課税退職所得金額をそれぞれ区分して計算する(所得税法第89条第1項)。税率の段の区分は同じ表を使う(所得税の税率)。

3つの区分で、2分の1の扱いが違う

所得税法第30条第2項が、1つの文の中で3通りを書き分けている。

区分退職所得の金額条番号
一般(収入金額 − 退職所得控除額)× 2分の1所得税法第30条第2項
短期退職手当等残額300万円以下の部分は2分の1、超える部分は2分の1にしない所得税法第30条第2項第1号・第2号
特定役員退職手当等(収入金額 − 退職所得控除額)。2分の1にしない所得税法第30条第2項かっこ書き

特定役員は2分の1が一切ない(所得税法第30条第2項かっこ書き)。短期は300万円までだけ2分の1が効く(同項第1号・第2号)。この違いが条文の1つの文の中に、かっこ書きと号で書き分けられている。

短期退職手当等の計算は2つの号

どんな場合金額条番号
第1号残額が300万円以下残額の2分の1所得税法第30条第2項第1号
第2号第1号以外150万円 + (収入金額 − (300万円 + 退職所得控除額))同項第2号

第2号の150万円は、300万円の2分の1である(所得税法第30条第2項第2号)。300万円までの部分の2分の1をそのまま定額で置いている(同項第1号)。

短期と特定役員の線は、どちらも勤続5年

区分誰か年数条番号
短期退職手当等役員等以外の者勤続年数5年以下所得税法第30条第4項
特定役員退職手当等役員等役員等勤続年数5年以下所得税法第30条第5項

役員等は3つある(所得税法第30条第5項第1号〜第3号)。法人税法第2条第15号に規定する役員、国会議員および地方公共団体の議会の議員、国家公務員および地方公務員である。

短期退職手当等は「特定役員退職手当等に該当しないもの」に限られる(所得税法第30条第4項)。役員なら特定役員のほうが先に当たる。

退職所得控除額は2段

勤続年数退職所得控除額条番号
20年以下40万円 × 勤続年数所得税法第30条第3項第1号
20年超800万円 + 70万円 × (勤続年数 − 20年)同項第2号

800万円は、40万円 × 20年である(所得税法第30条第3項第1号・第2号)。20年までの分を定額で置いている。

第6項に3つの例外がある

第3項で計算した額が、第6項によって置き換わる場合がある(所得税法第30条第6項)。

どんな場合どうなる条番号
第1号前年以前に他の退職手当等の支払を受けている場合で政令で定める場合第3項の額から、その分を政令の定めにより控除した額所得税法第30条第6項第1号
第2号第3項および第1号で計算した額が80万円に満たない場合80万円所得税法第30条第6項第2号
第3号障害者になったことに直接基因して退職したと認められる場合で政令で定める場合第3項・第1号の額(80万円に満たなければ80万円)に100万円を加算した額所得税法第30条第6項第3号

最低80万円は第2号、障害退職の100万円加算は第3号である(所得税法第30条第6項第2号・第3号)。どちらも第3項ではなく第6項にある。

勤続年数は政令で定める

第3項第1号は「政令で定める勤続年数」と書いている(所得税法第30条第3項第1号)。数え方そのものは所得税法施行令第69条にあり、所得税法の本文には無い。

住民税は別の条で、率も2つ

退職所得に係る住民税は、他の所得と分けて課税する地方税法第50条の2)。課税標準は所得税法第30条第2項の計算の例による(地方税法第50条の3第2項)。率は道府県民税100分の4(地方税法第50条の4)と市町村民税100分の6(地方税法第328条の3)である。

退職金にかかる住民税を参照。

よくある取り違え

1. 「退職金は必ず2分の1になる」

特定役員退職手当等は2分の1にしない(所得税法第30条第2項かっこ書き)。短期退職手当等も300万円を超える部分は2分の1にしない(同項第2号)。

2. 「最低80万円は第3項に書いてある」

第6項第2号である(所得税法第30条第6項第2号)。

3. 「障害退職の100万円加算は控除額の計算式に入っている」

第6項第3号である(所得税法第30条第6項第3号)。第3項の算式とは別の段にある。

4. 「勤続5年以下なら誰でも短期退職手当等」

役員等は特定役員退職手当等になる(所得税法第30条第5項)。短期退職手当等は「特定役員退職手当等に該当しないもの」に限られる(同条第4項)。

5. 「800万円は特別な数字」

40万円 × 20年である(所得税法第30条第3項第1号・第2号)。20年までの分をまとめて置いたものである。

よくある質問

勤続年数に1年未満の端数があるときは

所得税法第30条第3項第1号は「政令で定める勤続年数」と書いている。 数え方は所得税法施行令第69条にある。

同じ年に2か所から退職金を受けた場合は

第7項が、勤続期間に重複がある場合の計算を政令に委ねている(所得税法第30条第7項)。

退職所得の申告書を出さないとどうなりますか

源泉徴収の段階で20.42%になる所得税法第201条第3項)。退職金から引かれる所得税を参照。

退職所得も総所得金額に入りますか

入らない。 課税標準は総所得金額・退職所得金額・山林所得金額の3つに分かれている(所得税法第22条第1項)。ただし基礎控除などの段を決める合計所得金額には退職所得金額も足す(所得税法第2条第1項第30号イ(2))。

税率はどう当てますか

課税退職所得金額に、所得税法第89条第1項の表をそのまま当てる。 山林所得のような5分5乗はしない。所得税の税率と税額を参照。

会社が負担する社会保険料は退職所得に入りますか

所得税法第30条第1項は「退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与」と書いている。

退職手当等とは何か

退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与に係る所得である(所得税法第30条第1項)。

「退職により一時に受ける」ことが要件である。 年金の形で受け取るものは公的年金等の雑所得になる(所得税法第35条第3項)。公的年金等控除を参照。

課税標準として独立している

課税標準は、総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額とする(所得税法第22条第1項)。

退職所得金額は総所得金額に入らない。 税率は所得税法第89条第1項の表をそのまま当てる。山林所得のような5分5乗はしない。

申告の要否

退職所得は、源泉徴収だけで課税関係が終わる場合がある所得税法第121条第2項)。

退職所得の受給に関する申告書を提出していれば、原則として確定申告は要らない。

この計算が扱っていないこと

  • 勤続年数の数え方(所得税法施行令第69条)
  • 前年以前の退職手当等がある場合の調整(所得税法第30条第6項第1号の政令)
  • 勤続期間が重複する場合の計算(所得税法第30条第7項の政令)
  • 住民税(地方税法第50条の2以下)。別の道具にしている

関連する計算

同じ束のものと、同じ法令によるものを並べています。

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