消費税の納税義務の免除の判定
消費税の納税義務の免除とは、基準期間における課税売上高が一定額以下である事業者について、その課税期間の消費税を納める義務を免除する仕組みである(消費税法第9条第1項・第9条の2第1項)。
判定は2段あります。基準期間で1,000万円以下でも、特定期間で1,000万円を超えると免除されません(消費税法第9条の2第1項)。
計算例
下の例はこの画面の計算そのもので出しています。 入力を変えると同じ形で計算します。どの行がどの条文から来たかを、行ごとに出しています。
既定の入力
基準期間における課税売上高 8,000,000円/特定期間の判定に使うもの 課税売上高/特定期間における課税売上高 12,000,000円/特定期間の給与等の支払額 6,000,000円/適格請求書発行事業者か いいえ
| 項目 | 金額 | 条番号 |
|---|
| 基準期間における課税売上高 | 8,000,000円 | 消費税法第9条第1項(1,000万円以下) |
| 特定期間における課税売上高 | 12,000,000円 | 消費税法第9条の2第1項(1,000万円を超えるので免除されない) |
| 納税義務がある | 10,000,000円 | 消費税法第9条の2第1項(外れる理由: 特定期間の額が1,000万円を超える) |
- この2つの線のうち「特定期間の額が1,000万円を超える」に当たるので、納税義務がある
- 基準期間における課税売上高が1,000万円以下である者は、消費税を納める義務を免除する(消費税法第9条第1項)
- 特定期間における課税売上高が1,000万円を超えるときは、第9条第1項の規定は適用しない(消費税法第9条の2第1項)
- 適格請求書発行事業者は、この免除の対象から除かれる(消費税法第9条第1項かっこ書き)
- 条番号
- 消費税法第9条第1項・第9条の2第1項
- 適用
- 消費税法第9条第1項。事業者
- 出どころ
- 消費税法(昭和六十三年法律第百八号)
- 適用年度
- 消費税法 2026-04-01 施行(改正版 363AC0000000108_20260401_508AC0000000012)
- 取得日
- 2026-08-31
この計算は 2026-08-31 に取った条文で動いています。 それより後に改正があれば、反映されていないことがあります。消費税法 で今の条文を確かめられます。
確かめ方弱 864点。基準期間 × 特定期間 × 給与 × 適格請求書 × 判定の見方で照合。1段目が「以下」・2段目が「超える」で、ちょうど1,000万円の扱いが逆になることも見た(3つの強さの違い)
条文
消費税法(2026-04-01 施行)から取りました。2263字。
この計算が使う条文は、2024年4月1日時点から変わっています。 文字が変わったことだけを確かめています。答えが変わるかは別です(何が変わったか)。
消費税法第9条第1項・第9条の2第1項 を開く
(小規模事業者に係る納税義務の免除)第九条事業者のうち、その課税期間に係る基準期間における課税売上高が千万円以下である者(適格請求書発行事業者を除く。)については、第五条第一項の規定にかかわらず、その課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れにつき、消費税を納める義務を免除する。ただし、この法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。2前項に規定する基準期間における課税売上高とは、次の各号に掲げる事業者の区分に応じ当該各号に定める金額をいう。一個人事業者及び基準期間が一年である法人基準期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等の対価の額(第二十八条第一項に規定する対価の額をいう。以下この項、次条第二項、第十一条第四項及び第十二条の三第一項において同じ。)の合計額から、イに掲げる金額からロに掲げる金額を控除した金額の合計額(以下この項及び第十一条第四項において「売上げに係る税抜対価の返還等の金額の合計額」という。)を控除した残額イ基準期間中に行つた第三十八条第一項に規定する売上げに係る対価の返還等の金額ロ基準期間中に行つた第三十八条第一項に規定する売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額に七十八分の百を乗じて算出した金額二基準期間が一年でない法人基準期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から当該基準期間における売上げに係る税抜対価の返還等の金額の合計額を控除した残額を当該法人の当該基準期間に含まれる事業年度の月数の合計数で除し、これに十二を乗じて計算した金額3前項第二号の月数は、暦に従つて計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを一月とする。4第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除されることとなる事業者が、その基準期間における課税売上高(同項に規定する基準期間における課税売上高をいう。第十一条第四項及び第十二条第三項を除き、以下この章において同じ。)が千万円以下である課税期間につき、第一項本文の規定の適用を受けない旨を記載した届出書をその納税地を所轄する税務署長に提出した場合には、当該提出をした事業者が当該提出をした日の属する課税期間の翌課税期間(当該提出をした日の属する課税期間が事業を開始した日の属する課税期間その他の政令で定める課税期間である場合には、当該課税期間)以後の課税期間(その基準期間における課税売上高が千万円を超える課税期間を除く。)中に国内において行う課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、同項本文の規定は、適用しない。5前項の規定による届出書を提出した事業者は、同項の規定の適用を受けることをやめようとするとき、又は事業を廃止したときは、その旨を記載した届出書をその納税地を所轄する税務署長に提出しなければならない。6前項の場合において、第四項の規定による届出書を提出した事業者は、事業を廃止した場合を除き、同項に規定する翌課税期間の初日から二年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、同項の規定の適用を受けることをやめようとする旨を記載した届出書を提出することができない。7第五項の場合において、第四項の規定による届出書を提出した事業者は、同項に規定する翌課税期間の初日から同日以後二年を経過する日までの間に開始した各課税期間(第三十七条第一項の規定の適用を受ける課税期間を除く。)中に国内における調整対象固定資産の課税仕入れ又は調整対象固定資産に該当する課税貨物(他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。第九項、第十二条の二第四項及び第十二条の四において同じ。)の保税地域からの引取り(以下この項、第十二条の二第二項及び第十二条の三第三項において「調整対象固定資産の仕入れ等」という。)を行つた場合(第四項に規定する政令で定める課税期間において当該届出書の提出前に当該調整対象固定資産の仕入れ等を行つた場合を含む。)には、前項の規定にかかわらず、事業を廃止した場合を除き、当該調整対象固定資産の仕入れ等の日(当該調整対象固定資産の仕入れ等に係る第三十条第一項各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める日をいう。以下この項及び第十二条の二第二項において同じ。)の属する課税期間の初日から三年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、第四項の規定の適用を受けることをやめようとする旨を記載した届出書を提出することができない。この場合において、当該調整対象固定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日から当該調整対象固定資産の仕入れ等の日までの間に同項の規定の適用を受けることをやめようとする旨を記載した届出書をその納税地を所轄する税務署長に提出しているときは、次項の規定の適用については、その届出書の提出は、なかつたものとみなす。8第五項の規定による届出書の提出があつたときは、その提出があつた日の属する課税期間の末日の翌日以後は、第四項の規定による届出は、その効力を失う。9やむを得ない事情があるため第四項又は第五項の規定による届出書を第四項の規定の適用を受けようとし、又は受けることをやめようとする課税期間の初日の前日までに提出できなかつた場合における同項又は前項の規定の適用の特例及び第七項に規定する調整対象固定資産の仕入れ等が特例申告書の提出に係る課税貨物の保税地域からの引取りである場合その他の場合における同項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
判定は2段ある
| 段 | 見るもの | 線 | 条番号 |
|---|
| 1段目 | 基準期間における課税売上高 | 1,000万円以下なら免除 | 消費税法第9条第1項 |
| 2段目 | 特定期間における課税売上高 | 1,000万円を超えると免除されない | 消費税法第9条の2第1項 |
1段目を通っても、2段目で外れることがある。 同じ1,000万円という数字だが、条は2つあり、「以下」と「超える」で向きも違う(消費税法第9条第1項・第9条の2第1項)。
ちょうど1,000万円のとき、1段目は通り、2段目でも外れない(消費税法第9条第1項・第9条の2第1項)。「以下」と「超える」で境目の扱いが揃っている。
基準期間と特定期間はいつか
| 語 | いつ | 条番号 |
|---|
| 基準期間 | 個人事業者はその年の前々年、法人はその事業年度の前々事業年度 | 消費税法第2条第1項第14号 |
| 特定期間 | 個人事業者はその年の前年1月1日から6月30日まで、法人は前事業年度開始の日以後6か月 | 消費税法第9条の2第4項 |
2年前を見るのが基準期間(消費税法第2条第1項第14号)、前年の上半期を見るのが特定期間である(消費税法第9条の2第4項)。
基準期間における課税売上高の計算
第9条第2項が号で場合分けしている(消費税法第9条第2項)。
| 号 | 誰 | 中身 | 条番号 |
|---|
| 第1号 | 個人事業者および基準期間が1年である法人 | 課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から、売上げに係る税抜対価の返還等の金額の合計額を控除した残額 | 消費税法第9条第2項第1号 |
| 第2号 | 基準期間が1年でない法人 | 第1号の額を年換算した額 | 消費税法第9条第2項第2号 |
返品や値引きの分を引く。 総売上ではない。
課税資産の譲渡等の対価の額は、消費税法第28条第1項に規定する対価の額をいう(消費税法第9条第2項第1号)。消費税と地方消費税を含まない、税抜きの額である。
特定期間は給与でも判定できる
特定期間における課税売上高に代えて、給与等の支払額の合計額とすることができる(消費税法第9条の2第3項)。
どちらで見るかを事業者が選べる。 売上が1,000万円を超えていても、給与が1,000万円以下なら免除される(同条第1項・第3項)。
逆に、給与が1,000万円を超えていても売上が1,000万円以下なら免除される(消費税法第9条の2第1項・第3項)。同条第3項は「することができる」と書いており、事業者が選べる形になっている。
適格請求書発行事業者は最初から対象外
第9条第1項のかっこ書きが「適格請求書発行事業者を除く」と書いている(消費税法第9条第1項)。
登録していれば、課税売上高がいくらでも納税義務がある。 基準期間や特定期間の判定に入る前に外れる。
課税事業者を自分から選ぶこともできる
課税事業者選択届出書を提出した場合、第9条第1項は適用されない(消費税法第9条第4項)。
仕入れの消費税が多い事業者は、還付を受けるためにこれを選ぶことがある。 ただし2年間は変更できない(消費税法第9条第6項)。
この道具は選択届出を扱っていない。
基準期間が無い場合と、新設法人の特例
設立1期目・2期目の法人には基準期間が無い(消費税法第2条第1項第14号)。
基準期間が無ければ、第9条第1項の「1,000万円以下」の判定ができない。 そのため原則として納税義務が免除される。
基準期間が無くても課税事業者になる場合がある。 この道具は第9条・第9条の2の判定だけを扱っている。
よくある取り違え
1. 「前年の売上で判定する」
基準期間は前々年である(消費税法第2条第1項第14号)。前年の上半期は特定期間として別に見る(同法第9条の2第4項)。
2. 「特定期間は必ず売上で見る」
給与等の支払額でもよい(消費税法第9条の2第3項)。
3. 「インボイス登録しても売上が少なければ免除」
適格請求書発行事業者は除かれる(消費税法第9条第1項かっこ書き)。
4. 「新設法人は必ず2年間免税」
資本金1,000万円以上なら免除しない(消費税法第12条の2第1項)。
5. 「ちょうど1,000万円なら課税事業者」
免除される(消費税法第9条第1項)。「以下」である。
よくある質問
課税売上高に消費税は含みますか
第9条第2項第1号が「対価の額」と書いており、第28条第1項の対価の額をいう。 税抜きである。
免税事業者は消費税を請求できますか
消費税法第9条第1項は納税義務の免除を定めているだけである。 請求の可否は書かれていない。
免税事業者から課税事業者になったら
消費税法第36条に棚卸資産に係る調整の定めがある。
相続で事業を引き継いだ場合は
消費税法第10条に相続があった場合の特例がある。
簡易課税と併用できますか
簡易課税は課税事業者の計算方法である(消費税法第37条)。免税事業者には関係しない。消費税の簡易課税を参照。
2割特例とは何ですか
租税特別措置法にある経過措置である。 消費税法第9条には無い。
この計算が扱っていないこと
- 課税事業者の選択(消費税法第9条第4項・第6項)
- 新設法人・特定新規設立法人の特例(消費税法第12条の2・第12条の3)
- 相続・合併・分割があった場合の特例(消費税法第10条〜第12条)
- 基準期間における課税売上高の計算(消費税法第9条第2項)
消費税の税率は消費税の税率と内訳にある。簡易課税は消費税の簡易課税にある。数字をどう確かめたかは検算の方法にある。
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同じ束のものと、同じ法令によるものを並べています。
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