国民年金の保険料と老齢基礎年金の額は、どちらも条文にある基準の額に、毎年度の改定率を掛けて決まる(国民年金法第87条第3項・第27条)。
| 条文にある数 | 条番号 | |
|---|---|---|
| 保険料(1か月) | 17,000円 | 国民年金法第87条第3項 |
| 老齢基礎年金の満額(年額) | 780,900円 | 国民年金法第27条 |
改定率と保険料改定率は、別の率である。 年金額に掛けるのが改定率(国民年金法第27条の2)、保険料に掛けるのが保険料改定率(同法第87条第3項)で、どちらも毎年度の政令で決まる。令和8年度は、改定率が1.085(昭和31年4月1日以前に生まれた者は1.082)、保険料改定率が1.054である(国民年金法による改定率の改定等に関する政令第1条・第2条第1項)。上の計算欄は、この2つを別々に入れる形にしている。
保険料は17,000円 × 保険料改定率
保険料の額は、17,000円に保険料改定率を乗じて得た額とする(国民年金法第87条第3項)。
国民年金法第87条第3項は、平成17年度から令和元年度以後まで14段の表で額を定めている。いちばん最後の段が「令和元年度以後の年度に属する月の月分 一万七千円」である(同項)。
端数は10円と5円で決まる。 5円未満は切り捨て、5円以上10円未満は10円に切り上げる(同項かっこ書き)。10円の単位で四捨五入である。
保険料改定率そのものは法律の条文に書かれていない。 毎年度改定される(国民年金法第87条第5項)。令和8年度は1.054で、保険料は17,000円 × 1.054 = 17,918円を10円の単位にそろえて17,920円になる(国民年金法による改定率の改定等に関する政令第2条第1項・国民年金法第87条第3項)。
老齢基礎年金は780,900円 × 改定率
年金額は78万900円に改定率を乗じて得た額である(国民年金法第27条)。
480月で満額になる(同条ただし書)。保険料納付済期間の月数が480に満たないときは、満額に合算した月数を480で割った数を掛ける。
端数は50円と100円で決まる(国民年金法第27条かっこ書き)。50円未満は切り捨て、50円以上100円未満は100円に切り上げる。100円の単位で四捨五入である。
令和8年度は改定率1.085で、満額は780,900円 × 1.085 = 847,276.5円を100円の単位にそろえて847,300円になる(国民年金法による改定率の改定等に関する政令第1条・国民年金法第27条)。
保険料を納めた年数ごとの老齢基礎年金(令和8年度・年額)
保険料をすべて納めた期間(保険料納付済期間)だけがある人の、令和8年度の老齢基礎年金の年額である(国民年金法第27条・国民年金法による改定率の改定等に関する政令第1条)。
| 保険料を納めた期間 | 改定率 1.085(昭和31年4月2日以後に生まれた人) | 改定率 1.082(昭和31年4月1日以前に生まれた人) |
|---|---|---|
| --- | ---: | ---: |
| 10年(120月) | 211,825円 | 211,225円 |
| 15年(180月) | 317,738円 | 316,838円 |
| 20年(240月) | 423,650円 | 422,450円 |
| 25年(300月) | 529,563円 | 528,063円 |
| 30年(360月) | 635,475円 | 633,675円 |
| 35年(420月) | 741,388円 | 739,288円 |
| 40年(480月) | 847,300円 | 844,900円 |
この表は書き写していない。ページを組み立てるときに、上の計算欄と同じ関数で、月数と改定率を入れて作っている。1円未満は、50銭未満を切り捨て、50銭以上を1円に切り上げる(国民年金法第17条第1項)。
保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせて10年に満たないと、老齢基礎年金は支給されない(国民年金法第26条ただし書)。免除期間がある人は、その月数を号ごとの割合で数える(次の節)。
免除期間は号ごとに分数が違う
第27条の各号が、期間の種類ごとに月数の数え方を定めている。
| 期間 | 分数 | 条番号 |
|---|---|---|
| 保険料納付済期間 | そのまま | 国民年金法第27条第1号 |
| 保険料4分の1免除期間 | 8分の7 | 同条第2号・第3号 |
| 保険料半額免除期間 | 4分の3 | 同条第4号・第5号 |
| 保険料4分の3免除期間 | 8分の5 | 同条第6号・第7号 |
| 保険料全額免除期間 | 2分の1 | 同条第8号・第9号 |
同じ種類の期間に号が2つずつある(国民年金法第27条第2号〜第9号)。一方には限度があり、他方には無い。480月(同条ただし書)に達するまでの部分と、それを超える部分で分数が変わる。
たとえば4分の1免除期間の8分の7は「480から保険料納付済期間の月数を控除して得た月数を限度とする」と書かれている(国民年金法第27条第2号)。限度を超えた分は、次の号の低い割合で数える。 4分の1免除なら8分の3である(国民年金法第27条第3号)。半額免除は4分の1(同条第5号)、4分の3免除は8分の1(同条第7号)になる。
納付済300月・4分の1免除200月なら、限度は480から300を引いた180月である。180月は8分の7で157.5月、残りの20月は8分の3で7.5月になり、合わせて465月になる(国民年金法第27条第2号・第3号)。
この道具は、号の順に見て限度まで高い分数を当て、残りに低い分数を当てている。
付加年金は別の条
付加保険料は月400円(国民年金法第87条の2第1項)、付加年金の額は200円に付加保険料納付済期間の月数を乗じて得た額である(同法第44条)。
この道具は付加年金を扱っていない。
老齢基礎年金だけが課税される
租税その他の公課は、給付として支給を受けた金銭を標準として課することができない。ただし老齢基礎年金及び付加年金については、この限りでない(国民年金法第25条)。
老齢基礎年金は課税対象で、公的年金等控除が使える。 障害基礎年金と遺族基礎年金は非課税である。障害基礎年金・遺族基礎年金を参照。
繰上げ・繰下げは率が政令にある
繰下げは国民年金法第28条にある。繰上げは本則には無く、国民年金法附則第9条の2にある(「当分の間」という書き方をしている)。増減の率はいずれも政令で定める。
この道具は率を出していない。 条文に無い数値は出さない。
よくある取り違え
1. 「保険料は条文に書いてある金額そのもの」
17,000円に保険料改定率を乗じる(国民年金法第87条第3項)。保険料改定率は法律の条文に無く、毎年度の政令で決まる(国民年金法第87条第5項)。
2. 「満額は条文の780,900円」
改定率を乗じた額である(国民年金法第27条)。
3. 「改定率と保険料改定率は同じ」
別の率である(国民年金法第27条の2・第87条第3項)。令和8年度は改定率1.085、保険料改定率1.054である(国民年金法による改定率の改定等に関する政令第1条・第2条第1項)。
4. 「免除期間は一律2分の1」
免除の割合ごとに分数が違う(国民年金法第27条第2号〜第9号)。
5. 「全額免除でも満額の半分がもらえる」
480月に達するまでの部分と超える部分で分数が変わる(国民年金法第27条各号)。
6. 「国民年金はすべて非課税」
老齢基礎年金と付加年金は課税対象である(国民年金法第25条ただし書)。
よくある質問
改定率はどこで決まりますか
毎年度の政令で決まる。 改定の仕組みは国民年金法第27条の2以下にあり、その年度の率は国民年金法による改定率の改定等に関する政令が定める。令和8年度は、改定率が第1条で1.085(昭和31年4月1日以前に生まれた者は1.082)、保険料改定率が第2条第1項で1.054である。
学生納付特例はどう扱いますか
国民年金法第90条の3にある。 受給資格期間には入るが、年金額には反映されない。
追納できますか
国民年金法第94条に追納の定めがある。
厚生年金に入っていた期間は
厚生年金保険の被保険者期間は、国民年金の第2号被保険者期間として保険料納付済期間に算入される(国民年金法第7条第1項第2号・第5条第1項)。
受給資格期間は何年ですか
国民年金法第26条に、保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が10年以上であることの定めがある。
前納すると保険料は安くなりますか
国民年金法第93条に前納の定めがある。 割引の額は政令による。
この計算が扱っていないこと
- 古い時期の免除期間の割合。上の表は本則の割合である(国民年金法第27条第2号から第9号まで)。それより前の期間の割合は国民年金法の附則にあり、この道具は本則だけを読んでいる
- 学生納付特例と納付猶予の期間(国民年金法第90条の3ほか)。受給資格期間には入るが、年金額には反映されない
- 付加保険料・付加年金(国民年金法第87条の2・第43条・第44条)。支給要件が第43条、額が第44条にある
- 繰下げ(国民年金法第28条)・繰上げ(国民年金法附則第9条の2)
- 受給資格期間の判定(国民年金法第26条)
- 保険料の免除を受けられるかどうかの判定
- 前納・追納(国民年金法第93条・第94条)
会社員の社会保険料(厚生年金・健康保険)は別のページにある。支払った国民年金保険料は全額が所得控除になる(全額が控除されるもの)。