譲渡所得の計算(総合課税)
譲渡所得とは、資産の譲渡による所得をいい、たな卸資産の譲渡による所得などは含まれないものである(所得税法第33条/第22条第2項第2号)。
50万円の特別控除はまず短期のほうから引きます(所得税法第33条第5項)。土地・建物と株式は分離課税で、この道具の対象外です。
計算例
下の例はこの画面の計算そのもので出しています。 入力を変えると同じ形で計算します。どの行がどの条文から来たかを、行ごとに出しています。
既定の入力
短期の総収入金額 0円/短期の取得費と譲渡費用 0円/長期の総収入金額 3,000,000円/長期の取得費と譲渡費用 1,000,000円
| 項目 | 金額 | 条番号 |
|---|
| 短期の残額(総収入 − 取得費と譲渡費用) | 0円 | 所得税法第33条第3項第1号 |
| 長期の残額 | 2,000,000円 | 所得税法第33条第3項第2号 |
| 特別控除額 | 500,000円 | 所得税法第33条第4項(まず短期から引く(所得税法第33条第5項)。短期から 0円、長期から 500,000円) |
| 短期の譲渡所得 | 0円 | 所得税法第33条第3項第1号 |
| 長期の譲渡所得 | 1,500,000円 | 所得税法第33条第3項第2号 |
| 総所得金額に入る額(長期は2分の1) | 750,000円 | 所得税法第22条第2項第2号 |
- 2分の1に円未満の端数が出た場合は切り捨てている。条文に端数の定めは無い
- 条番号
- 所得税法第33条/第22条第2項第2号
- 適用
- 所得税法第33条・第22条第2項第2号
- 出どころ
- 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)
- 適用年度
- 所得税法 2026-08-12 施行(改正版 340AC0000000033_20260812_508AC0000000064)
- 取得日
- 2026-08-31
この計算は 2026-08-31 に取った条文で動いています。 それより後に改正があれば、反映されていないことがあります。所得税法 で今の条文を確かめられます。
確かめ方弱 50万円・5年・2分の1(3つの強さの違い)
どこまでを計算しているか
土地・建物の譲渡と株式等の譲渡は、所得税法第33条ではなく租税特別措置法第31条・第32条・第37条の10などによる分離課税である。税率も違い、50万円の特別控除も無い。この道具は所得税法第33条の総合課税の譲渡所得だけを出す。たな卸資産の譲渡と山林の伐採・譲渡は譲渡所得に含まれない(同条第2項)。
条文
所得税法(2026-08-12 施行)から取りました。717字。
この計算が使う条文は、2024年4月1日時点と1字も違いません。 比べたのは条文の文字だけです。答えが同じことまでは確かめていません(比べ方)。
所得税法第33条/第22条第2項第2号 を開く
(譲渡所得)第三十三条譲渡所得とは、資産の譲渡(建物又は構築物の所有を目的とする地上権又は賃借権の設定その他契約により他人に土地を長期間使用させる行為で政令で定めるものを含む。以下この条において同じ。)による所得をいう。2次に掲げる所得は、譲渡所得に含まれないものとする。一たな卸資産(これに準ずる資産として政令で定めるものを含む。)の譲渡その他営利を目的として継続的に行なわれる資産の譲渡による所得二前号に該当するもののほか、山林の伐採又は譲渡による所得3譲渡所得の金額は、次の各号に掲げる所得につき、それぞれその年中の当該所得に係る総収入金額から当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額を控除し、その残額の合計額(当該各号のうちいずれかの号に掲げる所得に係る総収入金額が当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額に満たない場合には、その不足額に相当する金額を他の号に掲げる所得に係る残額から控除した金額。以下この条において「譲渡益」という。)から譲渡所得の特別控除額を控除した金額とする。一資産の譲渡(前項の規定に該当するものを除く。次号において同じ。)でその資産の取得の日以後五年以内にされたものによる所得(政令で定めるものを除く。)二資産の譲渡による所得で前号に掲げる所得以外のもの4前項に規定する譲渡所得の特別控除額は、五十万円(譲渡益が五十万円に満たない場合には、当該譲渡益)とする。5第三項の規定により譲渡益から同項に規定する譲渡所得の特別控除額を控除する場合には、まず、当該譲渡益のうち同項第一号に掲げる所得に係る部分の金額から控除するものとする。
譲渡所得とは、資産の譲渡による所得をいう(所得税法第33条第1項)。このページは総合課税の譲渡所得を計算する。土地・建物や株式の譲渡は対象外である(後述)。
短期と長期に分かれる
譲渡所得の金額は、次の2つに分けて、それぞれ総収入金額から取得費と譲渡費用を引く(所得税法第33条第3項)。
| 区分 | 中身 | 条番号 |
|---|
| 短期 | 資産の取得の日以後5年以内にされた譲渡による所得 | 所得税法第33条第3項第1号 |
| 長期 | 短期以外の譲渡による所得 | 同項第2号 |
片方の総収入金額が取得費と譲渡費用の合計額に満たない場合は、その不足額を他方の残額から引く(所得税法第33条第3項かっこ書き)。この合計額が譲渡益である。
短期と長期で、総所得金額への入り方が違う
所得税法第33条第3項は、譲渡所得を2つの号に分けている。
| 号 | どんな譲渡か | 条番号 |
|---|
| 第1号(短期) | 資産の取得の日以後5年以内にされたものによる所得 | 所得税法第33条第3項第1号 |
| 第2号(長期) | 第1号以外のもの | 同項第2号 |
この区分は総所得金額の計算で効く。
| 区分 | 総所得金額への入り方 | 条番号 |
|---|
| 短期(第1号) | そのまま入る | 所得税法第22条第2項第1号 |
| 長期(第2号) | 2分の1にして入る | 所得税法第22条第2項第2号 |
2分の1は所得税法第33条には書かれていない。第22条にある。 所得税法第22条第2項第2号が、第33条第3項第2号に掲げる所得(長期)と一時所得の金額とを合計し、その合計額の2分の1を総所得金額に入れる。同じ号が一時所得にも効いている。
特別控除は先に短期から引く
譲渡所得の特別控除額は50万円である。ただし譲渡益が50万円に満たない場合には、当該譲渡益とする(所得税法第33条第4項)。
引く順序が第5項に書いてある。
まず、当該譲渡益のうち同項第一号に掲げる所得に係る部分の金額から控除するものとする
短期(第1号)から先に引く(所得税法第33条第5項)。2分の1にならない短期のほうから引くので、控除の効きが大きくなる。 順序を逆にすると税額が変わる。
譲渡所得に含まれないものが2つある
第2項が2つの号で除いている(所得税法第33条第2項)。
| 号 | 何が除かれるか |
|---|
| 第1号 | たな卸資産の譲渡その他営利を目的として継続的に行われる資産の譲渡による所得 |
| 第2号 | 山林の伐採又は譲渡による所得 |
第1号は事業所得または雑所得になる。第2号は山林所得になる(所得税法第32条第1項)。山林所得と5分5乗を参照。
土地建物と株式等はこの計算に入らない
「譲渡所得」で最も多く調べられるのは土地・建物の譲渡だが、それは所得税法第33条では計算しない。
土地・建物等の譲渡による所得は、租税特別措置法第31条(長期譲渡所得)と第32条(短期譲渡所得)による分離課税である。株式等の譲渡は同法第37条の10による分離課税である。
分離課税では税率が違い、50万円の特別控除も無く、長期でも2分の1にならない。長期・短期の区切りも5年ではなく、譲渡した年の1月1日で判定する(租税特別措置法第31条第1項)。
この道具は所得税法第33条の総合課税の譲渡所得だけを出している。 ゴルフ会員権、金地金、機械や車両などが該当する。
譲渡益の計算
総収入金額から、取得費と譲渡に要した費用の額の合計額を控除する(所得税法第33条第3項)。
号ごとに計算し、一方が不足するときは他方から引く(同項かっこ書き)。短期で赤字が出れば長期の残額から引く形になる。
端数の扱い
所得税法第33条は端数について何も書いていない。 所得税法第22条第2項第2号にも、2分の1にしたときの端数の定めが無い。この道具は円未満を切り捨てている。これは条文から出したものではない。
よくある取り違え
1. 「譲渡所得は2分の1になる」
長期だけである(所得税法第22条第2項第2号)。短期はそのまま総所得金額に入る(同項第1号)。
2. 「特別控除は長期から引く」
短期から先に引く(所得税法第33条第5項)。
3. 「不動産を売ったらこの計算」
土地建物等は租税特別措置法の分離課税である。 所得税法第33条の総合課税ではない。
4. 「5年は所有期間で数える」
第3項第1号は「資産の取得の日以後五年以内にされたもの」と書いている(所得税法第33条第3項第1号)。
5. 「特別控除は短期と長期で50万円ずつ」
譲渡益全体から50万円である(所得税法第33条第4項)。第5項が引く順序を決めているのは、1つの50万円を配分するためである。
よくある質問
取得費が分からない場合は
所得税法第33条第3項は「取得費」としか書いていない。 取得費の計算は同法第38条にある。
譲渡に要した費用とは何ですか
所得税法第33条第3項は「その資産の譲渡に要した費用」と書いている。 具体的な範囲は同条に書かれていない。
損失が出た場合は
第3項のかっこ書きが、号のあいだで引き合う形を書いている(所得税法第33条第3項)。損益通算は同法第69条にある。
ゴルフ会員権は譲渡所得ですか
所得税法第33条第2項の2つの号に当たらなければ譲渡所得である。 個別の判定は同条には書かれていない。
生活用動産の譲渡は課税されますか
所得税法第9条第1項第9号に非課税の定めがある。 第33条の側には書かれていない。
総所得金額のどこに入りますか
短期は所得税法第22条第2項第1号、長期は同項第2号である。 第2号の合計の2分の1が総所得金額に入る。
所得税の計算のどこに入るか
譲渡所得の金額は所得税法第21条第1項第1号の段で計算し、第2号の段で総所得金額に入れる(同法第22条第2項)。所得控除は第3号の段である。
この計算が扱っていないこと
- 土地建物等・株式等の分離課税(租税特別措置法)
- 取得費の計算(所得税法第38条)
- 損益通算(所得税法第69条)
- 非課税となる生活用動産の譲渡(所得税法第9条第1項第9号)
関連する計算
同じ束のものと、同じ法令によるものを並べています。
この計算を何と突き合わせているか いつの条文で計算するか 計算の一覧