けんざん制度で決まった金額を、条番号つきで計算する

給与所得控除の計算

給与所得控除とは、給与等の収入金額から差し引く額で、給与所得の金額を計算するために用いるものである(所得税法第28条第2項・第28条第4項)。

給与収入から給与所得控除後の金額を計算します。660万円未満は所得税法第28条第4項の別表第五を引きます。 算式で近似した値とは、答えが違うことがあります。

給与所得控除後の金額を計算する

過去の時点や、施行前の条文を選ぶと、その条文の別表第五と算式で計算します
円(源泉徴収票の「支払金額」)

次に使う計算:所得控除を引いた後の所得税額を計算する

計算例

下の例はこの画面の計算そのもので出しています。 入力を変えると同じ形で計算します。どの行がどの条文から来たかを、行ごとに出しています。

給与収入 3,000,000円(別表第五を引く)

給与等の収入金額 3,000,000円

給与収入 3,000,000円(別表第五を引く)の計算例
項目値条番号
給与等の収入金額3,000,000円所得税法第28条第1項
別表第五の区分3,000,000円以上 3,004,000円未満所得税法第28条第4項・別表第五
給与所得控除後の金額2,020,000円所得税法第28条第4項・別表第五(表の行をそのまま引く)
給与所得控除額980,000円所得税法第28条第2項(収入金額から控除後の金額を引いた額)

給与収入 6,600,000円(算式で計算する)

給与等の収入金額 6,600,000円

給与収入 6,600,000円(算式で計算する)の計算例
項目値条番号
給与等の収入金額6,600,000円所得税法第28条第1項
給与所得控除額1,760,000円所得税法第28条第3項第3号
給与所得控除後の金額4,840,000円所得税法第28条第2項

給与収入 9,000,000円(上限の1,950,000円)

給与等の収入金額 9,000,000円

給与収入 9,000,000円(上限の1,950,000円)の計算例
項目値条番号
給与等の収入金額9,000,000円所得税法第28条第1項
給与所得控除額1,950,000円所得税法第28条第3項第5号
給与所得控除後の金額7,050,000円所得税法第28条第2項
条番号
所得税法第28条第2項〜第4項・別表第五
適用
給与所得。660万円未満は別表第五による
出どころ
所得税法(昭和四十年法律第三十三号)
適用年度
計算欄で選んだ時点による。選べる時点を参照
取得日
2026-10-04

この計算は 2026-10-04 に取った条文で動いています。 それより後に改正があれば、反映されていないことがあります。所得税法 で今の条文を確かめられます。

有資格者の監修は受けていません。ここに出る金額は、申告・届出・請求に用いる金額そのものではありません(運営者情報)。

選べる時点

e-Gov法令検索の法令APIは、過去の任意の時点で施行されていた条文を返せます。 別表第五も算式も、時点ごとに取り直しています。公布済みでまだ施行されていない改正も、同じ仕組みで取っています。 何がどう変わったかはいつの条文で計算するかに出しています。

選べる時点
時点施行日別表第五の行数改正版ID
現行2026-10-011,179340AC0000000033_20261001_507AC0000000070
2024-04-01 時点2024-04-011,251340AC0000000033_20240401_506AC0000000008
令和8年分から当てはまる条文2026-12-011,148340AC0000000033_20261201_508AC0000000012

給与所得の金額は、その年の給与等の収入金額から給与所得控除額を引いた残額である(所得税法第28条第2項)。

給与所得控除額は収入に応じて5段階で決まる(同条第3項)。ただし収入が660万円未満の場合は、算式ではなく別表第五を使う(同条第4項)。この2つは同じ答えにならないことがある。

控除額の5段階

段を決めるのは給与等の収入金額で、190万円以下は一律65万円である(2026年11月30日までの所得税法第28条第3項第1号。令和8年分からの額は次の節)。

給与等の収入金額給与所得控除額条番号
190万円以下65万円所得税法第28条第3項第1号
190万円超 360万円以下65万円+(収入−190万円)×30%所得税法第28条第3項第2号
360万円超 660万円以下116万円+(収入−360万円)×20%所得税法第28条第3項第3号
660万円超 850万円以下176万円+(収入−660万円)×10%所得税法第28条第3項第4号
850万円超195万円(上限)所得税法第28条第3項第5号

850万円を超えると195万円で頭打ちになる(所得税法第28条第3項第5号)。それ以上は収入が増えても控除額が増えない。

ただし660万円未満では、この算式ではなく別表第五を使う(同条第4項)。第2号・第3号の算式は、660万円未満の部分については実際には使われない。

2026年12月1日施行の改正で、令和8年分から控除額が変わる

所得税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第12号。以下「改正法」)は、2026年12月1日から所得税法第28条第3項と別表第五を改める。第28条の改正は令和8年分以後に当たる(改正法附則第3条第1項)。別表第五の改正は、令和8年中に支払う給与等のうち、最後に支払う日が12月1日以後のものに当たる(改正法附則第13条第2項)。

給与等の収入金額給与所得控除額(2026年12月1日施行)条番号
360万円以下8万円+収入×30%(69万円に満たなければ69万円)所得税法第28条第3項第1号
360万円超 660万円以下116万円+(収入−360万円)×20%同項第2号
660万円超 850万円以下176万円+(収入−660万円)×10%同項第3号
850万円超195万円同項第4号

変わるのは最初の段だけである。2026年11月30日までの条文の「190万円以下は65万円」と「190万円超360万円以下」の2段が1つになり、最低額が69万円になる。別表第五の最初の行も、「691,000円未満は0」「691,000円以上2,026,000円未満は給与等の金額から690,000円を控除した金額」に変わる。

さらに令和8年分と令和9年分は、2026年12月1日施行の租税特別措置法第29条の4(この日に新しく置かれる条)が最低額を74万円にする。給与等の収入金額が220万円以下なら、給与所得控除額は74万円(収入が74万円に満たなければ収入の額)である(同条第1項)。給与所得の金額も同条第2項が別に定めている。

例:給与等の収入金額190万円給与所得の金額条番号
------:---
2026年11月30日までの条文1,250,000円所得税法別表第五
2026年12月1日施行の所得税法だけ1,210,000円2026年12月1日施行の所得税法別表第五
さらに措置法の特例(令和8年分・令和9年分)1,160,000円2026年12月1日施行の租税特別措置法第29条の4第2項第2号

最低額は年分ごとに違う

年分給与所得控除の最低額条番号
令和6年分55万円(収入180万円以下は「収入×40%−10万円」で、55万円に満たなければ55万円)2024年4月1日時点の所得税法第28条第3項第1号
令和7年分65万円(収入190万円以下)2026年11月30日までの所得税法第28条第3項第1号
令和8年分・令和9年分74万円(収入220万円以下。収入が74万円に満たなければ収入の額)2026年12月1日施行の租税特別措置法第29条の4第1項
令和10年分以後69万円(収入360万円以下は「8万円+収入×30%」で、69万円に満たなければ69万円)2026年12月1日施行の所得税法第28条第3項第1号

令和8年分・令和9年分の74万円は、所得税法ではなく租税特別措置法にある。所得税法だけを読むと69万円になる(2026年12月1日施行の所得税法第28条第3項第1号)。

同じ改正法で、基礎控除の第1号の額も62万円になる(2026年12月1日施行の所得税法第86条第1項第1号)。令和8年分の基礎控除の額を参照。

上の計算欄は、既定では2026年11月30日までの条文で計算する。時点で「令和8年分から当てはまる条文」を選ぶと、2026年12月1日施行の別表第五と算式で計算し、220万円未満なら措置法の特例の額を答えにする。

660万円未満は別表第五(給与所得控除後の金額の算出表)による

所得税法第28条第4項は、収入が660万円未満の場合について、算式ではなく別表第五によると定めている。

別表第五の題名は「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」である(所得税法別表第五)。給与等の金額から、給与所得控除後の金額を直接引く表で、年末調整でも使う(所得税法第190条)。

国税庁の「年末調整のしかた」は、この表を「給与所得控除後の金額の算出表」という名前で載せている。令和7年分の算出表は、651,000円未満が0、190万円から660万円未満が4,000円きざみで、所得税法別表第五の区分と同じである(所得税法第28条第4項・別表第五)。令和8年分の算出表は、220万円未満に租税特別措置法の特例を入れた形になっている(2026年12月1日施行の租税特別措置法第29条の4第2項)。

別表第五は4,000円ごとの区分になっている。その区分に対応する給与所得控除後の金額が書かれており、区分の中では金額が動かない。そのため算式で計算した値と一致しないことがある(所得税法第28条第4項・別表第五)。

たとえば収入6,599,000円の場合、算式では給与所得控除後が4,839,200円になるが、別表第五では4,836,800円である。差は2,400円である。法が別表によると定めている以上、別表の値が正しい。

このページの計算は、660万円未満では別表第五を引く(所得税法第28条第4項)。660万円以上も別表第五の式の行で引いているが、この範囲は第3項の算式と同じ額になる(同条第3項)。

給与等の収入金額使うもの条番号
660万円未満別表第五(給与所得控除後の金額を直接引く)所得税法第28条第4項
660万円以上第3項の算式所得税法第28条第3項

第4項は「前二項の規定にかかわらず」と書いている(所得税法第28条第4項)。660万円未満のときは算式ではなく別表が優先する。この道具は別表第五を法令から機械で取り出して使っている。 書き写していないので、写し間違いが起きない。

この4,000円きざみが、時点による差の出方を決めている。 2026年11月30日までの条文と2024年4月1日時点の別表第五を比べると、差は一律ではなく、区分の切れ目でずれる。 給与収入190万円のすぐ手前では逆向きに1,800円の差が出る。詳しくはいつの条文で計算するかにある。

収入ごとの給与所得控除後の金額(算出表の早見表)

給与等の収入金額から、給与所得の金額(給与所得控除後の金額)を引く表である(所得税法第28条第2項・第4項・別表第五)。算出表の全行ではなく、主な収入金額だけを抜き出している。

給与等の収入金額2026年11月30日までの条文(令和7年分)令和8年分・令和9年分(2026年12月1日施行の条文と措置法の特例)
---:---:---:
1,000,000円350,000円260,000円
1,500,000円850,000円760,000円
1,900,000円1,250,000円1,160,000円
2,000,000円1,320,000円1,260,000円
2,200,000円1,460,000円1,460,000円
2,500,000円1,670,000円1,670,000円
3,000,000円2,020,000円2,020,000円
3,500,000円2,370,000円2,370,000円
4,000,000円2,760,000円2,760,000円
5,000,000円3,560,000円3,560,000円
6,000,000円4,360,000円4,360,000円
6,600,000円4,840,000円4,840,000円
7,000,000円5,200,000円5,200,000円
8,000,000円6,100,000円6,100,000円
8,500,000円6,550,000円6,550,000円
10,000,000円8,050,000円8,050,000円

この表は書き写していない。ページを組み立てるときに、上の計算欄と同じ関数で、別表第五と算式を当てて作っている。660万円未満は別表第五、660万円以上は算式による(所得税法第28条第4項)。令和8年分・令和9年分の列は、220万円未満に租税特別措置法の特例が当たる(2026年12月1日施行の租税特別措置法第29条の4第2項)。

別表第五には式で書かれた行が3つある

別表第五は数値の表だが、次の3つの区分だけは金額ではなく式で書かれている。

給与等の金額別表第五の記載
651,000円以上 1,900,000円未満給与等の金額から650,000円を控除した金額
6,600,000円以上 8,500,000円未満給与等の金額に90%を乗じて算出した金額から1,100,000円を控除した金額
8,500,000円以上 20,000,000円未満給与等の金額から1,950,000円を控除した金額

真ん中の行は「90%を乗じてから控除する」であって、単に1,100,000円を引くのではない。ここを取り違えると、660万円から850万円の答えが変わる(所得税法第28条第4項・別表第五)。

651,000円未満は0になる

給与等の収入金額が651,000円未満の場合、給与所得控除後の金額は0である(所得税法第28条第4項・別表第五)。

算式(所得税法第28条第3項第1号)をそのまま当てると、収入から65万円を引いて負の値になる。だが給与所得の金額が負になることはない。

給与所得の金額は、控除後の残額

給与所得の金額は、その年中の給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額である(所得税法第28条第2項)。

この残額が、合計所得金額の計算に入る。 基礎控除や配偶者控除の段を決めるのはこの後の額である。基礎控除と配偶者控除を参照。

特定支出控除で、さらに引ける場合がある

特定支出の合計額が給与所得控除額の2分の1を超えるとき、その超える部分を引ける(所得税法第57条の2第1項)。

この定めは所得税法第28条には無い。 別の条にある。給与所得者の特定支出控除を参照。

端数の扱い

所得税法第28条第3項の算式には端数の定めが無い。 別表第五(同条第4項)は4,000円きざみの区分で、区分ごとに金額が決まっているので端数が出ない。

よくある取り違え

1. 「給与所得控除は最低55万円」

2026年11月30日までの条文では、第1号は65万円である(所得税法第28条第3項第1号)。2024年4月1日時点は55万円だった(2024年4月1日時点の所得税法第28条第3項第1号)。令和8年分からは、最低額69万円の算式になる(上の節)。時点を選ぶと、その時点の別表で計算する。

2. 「算式で計算すれば別表と同じ」

同じにならない。 660万円未満は別表第五が優先し(所得税法第28条第4項)、4,000円きざみの区分になっている。算式は連続なので、端数の扱いが違う。

3. 「収入が増えれば控除も増える」

850万円を超えると195万円で止まる(所得税法第28条第3項第5号)。

4. 「103万円の壁は所得税法にある」

103万円という数字は所得税法第28条にも第2条にも出てこない。 給与所得控除と基礎控除の額を足した結果を、収入の側で言い直したものである。条文が見ているのは合計所得金額である。

5. 「別表第五は国税庁の表」

法律の別表である(所得税法別表第五)。国税庁が公表している表ではなく、所得税法そのものに載っている。

よくある質問

給与が2か所からある場合は

第2項は「その年中の給与等の収入金額」と書いている(所得税法第28条第2項)。合計した収入金額で判定する。

通勤手当も収入に入りますか

一定の通勤手当は非課税である(所得税法第9条第1項第5号)。所得税法第28条の給与等の収入金額には入らない。

年の途中で退職した場合は

所得税法第28条は年を単位にしている。 その年中の給与等の収入金額で計算する。

賞与も収入に入りますか

入る。 第1項が「俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与」と書いている(所得税法第28条第1項)。

別表第五はどこまでの金額を載せていますか

2,000万円未満まで行がある(所得税法別表第五)。660万円以上の行は「給与等の金額に90%を乗じて算出した金額から1,100,000円を控除した金額」のように式で書かれている。ただし別表第五によると定めているのは660万円未満の場合だけで(所得税法第28条第4項)、660万円以上は第3項の算式による。この範囲では、どちらで計算しても同じ額になる。

住民税でも同じ給与所得控除ですか

地方税法は所得税法の計算の例による形をとっている。 給与所得の金額そのものは所得税法第28条で計算する。

所得税の計算のどこに入るか

給与所得控除は所得控除ではない。 所得税法第21条第1項第1号の段で、所得の種類ごとに金額を計算するときに使う。

基礎控除や扶養控除(第3号の段)より前である。 順番を取り違えると、合計所得金額の判定そのものがずれる。

所得控除を引いた後の課税総所得金額に税率を当てて税額にするのは、所得税の税率と税額の計算である(所得税法第89条第1項)。住民税の所得割は住民税の所得割と均等割の計算にある。

この計算が扱っていないこと

  • 特定支出控除(所得税法第57条の2)。別の道具にしている
  • 非課税の通勤手当(所得税法第9条第1項第5号)
  • 所得金額調整控除(租税特別措置法)

この計算を何と突き合わせているか

関連する計算

同じ束のものと、同じ法令によるものを並べています。

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