2026年12月1日施行の改正(令和8年分から当たる)
所得税法等の一部を改正する法律(令和8年法律第12号。以下「改正法」)は公布済みで、一部が2026年12月1日に施行される。多くは令和8年分(2026年1月〜12月の所得)から当たる。施行前の条文も e-Gov 法令APIの日付の指定で取れるので、けんざんは2つの道具でこの時点を選べるようにしている。
| 変わる条 | 2026年11月30日までの条文 | 2026年12月1日施行の条文 | 当たる年分 | ページ |
|---|---|---|---|---|
| 所得税法第86条第1項第1号 | 58万円 | 62万円 | 令和8年分以後(改正法附則第9条第1項) | 令和8年分の基礎控除の額(時点を選べる) |
| 租税特別措置法第41条の16の2第1項(基礎控除の加算) | 4段(37万・30万・10万・5万円) | 2段(42万・5万円) | 令和7年分は改正前(改正法附則第45条第1項) | 同上 |
| 所得税法第28条第3項(給与所得控除) | 190万円以下は65万円 | 360万円以下は8万円+収入の30%(最低69万円) | 令和8年分以後(改正法附則第3条第1項) | 令和8年分の給与所得控除の額(時点を選べる) |
| 所得税法別表第五(最初の行) | 651,000円未満は0 | 691,000円未満は0 | 最後に支払う日が2026年12月1日以後の給与等(改正法附則第13条第2項) | 同上 |
| 給与所得控除の最低額の特例 | 無い | 220万円以下は74万円(2026年12月1日施行の租税特別措置法第29条の4第1項) | 令和8年分・令和9年分 | 同上 |
| 所得税法第2条第1項第33号・第34号(配偶者・扶養親族の所得の線) | 58万円以下 | 62万円以下 | 令和8年分以後(改正法附則第2条第1項) | 配偶者控除・配偶者特別控除・扶養控除・特定親族特別控除 |
| 所得税法施行令第11条の2第2項・第205条第1項(ひとり親の子・雑損控除の親族) | 58万円以下 | 62万円以下 | 令和8年分以後(令和8年政令第93号の附則) | ひとり親控除・雑損控除 |
時点を選べない道具は、計算は施行前の条文のまま、本文で令和8年分の扱いを書いている(改正法附則第2条第1項ほか)。施行日に条文を取り直し、既定の時点を切り替えるかを決める。
所得税法だけを詳しく見ると
上の表は26の法令を機械で突き合わせた結果である。ここから下は、そのうち所得税法だけを詳しく見たものである。
2024年4月1日時点と2026-10-01 施行の所得税法を比べたところ、けんざんが使っている条のうち4つの条文が変わっていた(所得税法第86条・第83条・第78条・第84条の2)。しかし答えが変わるのはその一部だけである。
| 条 | 条文 | 答え |
|---|---|---|
| 所得税法第86条(基礎控除) | 変わった | 変わる。3段(48万・32万・16万)から4段(58万・48万・32万・16万)になった |
| 所得税法第83条(配偶者控除) | 変わった | 変わらない。第84条の2への参照が加わっただけで、第1項各号の額は同じである |
| 所得税法第78条(寄附金控除) | 変わった | 変わらない。第1項の算式(40%の上限と2,000円)は同じである |
| 所得税法第84条の2(特定親族特別控除) | 当時なかった | 令和7年度の改正で新設された |
比べたのは、第83条第1項各号の額と、第78条第1項の算式だけである。 それぞれの条の全体が答えに影響しないことまでは確かめていない。
別表は5つのうち4つが変わった
| 別表 | 変わったか | けんざんで時点を選べるか |
|---|---|---|
| 別表第二(月額表) | 変わった | 選べる |
| 別表第三(日額表) | 変わった | 選べる |
| 別表第四(賞与の率の表) | 変わった | 選べる |
| 別表第五(給与所得控除後の金額の表) | 変わった | 選べる |
| 別表第六(退職所得控除額の表) | 変わらない | 置く意味がないので置いていない |
別表第六が変わらないので、退職金の源泉徴収税額には時点を選ぶ意味がない。 変わらないことを確かめたうえで、選択欄を置いていない。
別表第五は変わったが、答えが変わるのは給与収入190万円未満のときだけである。 190万円以上では現行も2024年時点も同じ金額になる。令和7年度の改正は、給与所得控除の最低額を55万円から65万円に上げたものだからである(所得税法第28条第3項第1号)。
190万円未満の差は、一律10万円ではない。 別表第五の区分が4,000円きざみなので、切れ目では10万円ちょうどにならない。千円きざみで測った1,900点のうち、ちょうど10万円だったのは973点である。差の範囲は −100,000円 から +1,800円までで、190万円のすぐ手前では逆向きになる。現行がその範囲を式の行で書き、2024年時点は表の行で書いているためである(所得税法別表第五)。
時点を選べる道具と、選べない道具
表を機械で取り出している道具は、過去の時点も同じ機械で取れる。 書き写す手間がかからないので、時点を増やしても写し間違いが起きない。
いま時点を選べるのは次の8本である。
| 道具 | 何を時点ごとに持っているか |
|---|---|
| 給与の源泉徴収税額(月額表) | 別表第二(機械で取り出し) |
| 日額表 | 別表第三(機械で取り出し) |
| 賞与 | 別表第四(機械で取り出し) |
| 給与所得控除 | 別表第五(機械)と、所得税法第28条第3項の算式(人が書き写し) |
| 基礎控除 | 所得税法第86条第1項の段(人が書き写し) |
| 特定親族特別控除 | 所得税法第84条の2の表(人が書き写し)。2024年時点には条文が無い |
| 報酬・料金の源泉 | 2027年1月1日施行の、併せて徴収する税の率(復興特別所得税1.1%・防衛特別所得税1%)だけ。所得税法第204条・第205条は変わらない |
| 退職金の源泉 | 同じく併せて徴収する税の率だけ。所得税法第201条と別表第六は変わらない |
条文から人が式を書き写している道具は、時点ごとに書き直す必要がある。 給与所得控除の算式は2024年時点とは別物で、収入180万円以下は「収入×40%−10万円、最低55万円」だった(所得税法第28条第3項第1号)。基礎控除は3段から4段になった(同法第86条第1項)。書き直した数が、その時点の条文にあることを機械で確かめている。
特定親族特別控除は、2024年時点には条文そのものが無い(所得税法第84条の2は令和7年度の改正で新設された)。時点を選ぶと「この時点では計算できません」と出す。0円とは出さない。
取り出しの検算は、過去の時点にも同じものが走る
過去の時点の別表も、現行と同じ検算を通している(検算の方法)。表の以上と未満にすき間が無いこと、給与が増えて税額が下がる行が無いこと、式の段が繋がっていることを、時点ごとに確かめている。
改正版IDで、どの条文かを特定できる
e-Gov法令検索は、改正のたびに改正版IDを振っている。たとえば所得税法の現行は 340AC0000000033_20260812_508AC0000000064 である。2024年4月1日時点は 340AC0000000033_20240401_506AC0000000008 である。
けんざんは、計算に使った改正版IDを結果に出している。どの時点のどの条文で計算したかを、読み手が特定できる。