けんざん制度で決まった金額を、条番号つきで計算する

青色申告特別控除の計算

青色申告特別控除とは、青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている個人について、不動産所得・事業所得・山林所得の金額から決められた額を差し引く特例である(租税特別措置法第25条の2)。

控除額は所得の金額でも頭打ちになります(租税特別措置法第25条の2第1項第2号・第3項第2号)。65万円は55万円の読み替えです。

計算する

55万円・65万円の対象にならない(租税特別措置法第25条の2第3項)

計算例

下の例はこの画面の計算そのもので出しています。 入力を変えると同じ形で計算します。どの行がどの条文から来たかを、行ごとに出しています。

既定の入力

受けられる控除の区分 55万円(同条第3項。正規の簿記)/不動産所得の金額 0円/事業所得の金額 3,000,000円/山林所得の金額 0円

項目金額条番号
55万円の区分550,000円租税特別措置法第25条の2第3項第1号(不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営み、正規の簿記により記録している)
対象になる所得の金額3,000,000円租税特別措置法第25条の2第1項第2号・第3項第2号
事業所得から引いた額550,000円租税特別措置法第25条の2第2項
青色申告特別控除の額550,000円租税特別措置法第25条の2第3項第1号
  • 不動産所得 → 事業所得 → 山林所得 の順に引く(租税特別措置法第25条の2第2項)
条番号
租税特別措置法第25条の2
適用
租税特別措置法第25条の2。青色申告の承認を受けている個人
出どころ
租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)
適用年度
租税特別措置法 2026-08-12 施行(改正版 332AC0000000026_20260812_508AC0000000064)
取得日
2026-08-31

この計算は 2026-08-31 に取った条文で動いています。 それより後に改正があれば、反映されていないことがあります。租税特別措置法 で今の条文を確かめられます。

確かめ方 10万・55万・65万と、所得での頭打ち(3つの強さの違い

どこまでを計算しているか

55万円と65万円は不動産所得と事業所得だけが対象で、山林所得は10万円のみである(租税特別措置法第25条の2第3項)。不動産所得が事業的規模かどうかの判定は、この道具では出していない。

条文

租税特別措置法(2026-08-12 施行)から取りました。1791字。

この計算が使う条文は、2024年4月1日時点と1字も違いません。 比べたのは条文の文字だけです。答えが同じことまでは確かめていません(比べ方)。

租税特別措置法第25条の2 を開く

(青色申告特別控除)第二十五条の二青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている個人のその承認を受けている年分(第三項の規定の適用を受ける年分を除く。)の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額は、所得税法第二十六条第二項、第二十七条第二項又は第三十二条第三項の規定により計算した不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額から次に掲げる金額のうちいずれか低い金額を控除した金額とする。一十万円二所得税法第二十六条第二項、第二十七条第二項又は第三十二条第三項の規定により計算した不動産所得の金額、事業所得の金額(次条第一項の規定の適用がある場合には、同項に規定する社会保険診療につき支払を受けるべき金額に対応する部分の金額を除く。第三項第二号において同じ。)又は山林所得の金額の合計額2前項の規定により控除すべき金額は、不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額から順次控除する。3青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている個人で不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営むもの(所得税法第六十七条第一項の規定の適用を受ける者を除く。)が、同法第百四十八条第一項の規定により、当該事業につき帳簿書類を備え付けてこれにその承認を受けている年分の不動産所得の金額又は事業所得の金額に係る取引を記録している場合(これらの所得の金額に係る一切の取引の内容を詳細に記録している場合として財務省令で定める場合に限る。)には、その年分の不動産所得の金額又は事業所得の金額は、同法第二十六条第二項又は第二十七条第二項の規定により計算した不動産所得の金額又は事業所得の金額から次に掲げる金額のうちいずれか低い金額を控除した金額とする。一五十五万円二所得税法第二十六条第二項又は第二十七条第二項の規定により計算した不動産所得の金額又は事業所得の金額の合計額4前項に規定する個人が同項に規定する場合に該当する場合において、次に掲げる要件のいずれかを満たすものであるときは、同項第一号中「五十五万円」とあるのは、「六十五万円」として、同項の規定を適用することができる。一その年における前項に規定する帳簿書類のうち財務省令で定めるものにあつては、財務省令で定めるところにより、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(平成十年法律第二十五号)第四条第一項又は第五条第一項若しくは第三項に規定する財務省令で定めるところに従い、当該帳簿書類に係る同法第二条第三号に規定する電磁的記録の備付け及び保存又は当該電磁的記録の備付け及び当該電磁的記録の同条第六号に規定する電子計算機出力マイクロフィルムによる保存を行つていること(当該帳簿書類に係る当該電磁的記録の備付け及び保存又は当該電磁的記録の備付け及び当該電磁的記録の当該電子計算機出力マイクロフィルムによる保存が、同法第八条第四項に規定する財務省令で定める要件を満たしている場合に限る。)。二その年分の所得税の確定申告書の提出期限までに、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第六条第一項の規定により同項に規定する電子情報処理組織を使用して、財務省令で定めるところにより、当該確定申告書に記載すべき事項(前項の規定の適用を受けようとする旨及び同項の規定による控除を受ける金額の計算に関する事項を含む。)及び前項に規定する帳簿書類に基づき財務省令で定めるところにより作成された貸借対照表、損益計算書その他不動産所得の金額又は事業所得の金額の計算に関する明細書に記載すべき事項に係る情報を送信したこと。5第三項の規定により控除すべき金額は、不動産所得の金額又は事業所得の金額から順次控除する。6第三項(第四項の規定により、同項第二号に掲げる要件を満たしている者について適用する場合を除く。)の規定は、確定申告書に第三項の規定の適用を受けようとする旨及び同項の規定による控除を受ける金額の計算に関する事項の記載並びに同項に規定する帳簿書類に基づき財務省令で定めるところにより作成された貸借対照表、損益計算書その他不動産所得の金額又は事業所得の金額の計算に関する明細書の添付があり、かつ、当該確定申告書をその提出期限までに提出した場合に限り、適用する。

青色申告特別控除は、青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている個人が、不動産所得・事業所得・山林所得から一定額を引ける制度である(租税特別措置法第25条の2)。

3つの額は、別々の項にある

租税特別措置法第25条の2は、10万円・55万円・65万円を1つの表に並べていない。項が分かれている。

条番号主な要件
10万円租税特別措置法第25条の2第1項第1号青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている
55万円租税特別措置法第25条の2第3項第1号不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営み、正規の簿記により記録している
65万円租税特別措置法第25条の2第4項55万円の要件に加えて、電子帳簿保存または e-Tax による申告

65万円という数字は、第4項に単独で書かれているのではない。 第4項は「同項第一号中『五十五万円』とあるのは、『六十五万円』として、同項の規定を適用することができる」と書いている(租税特別措置法第25条の2第4項)。第3項第1号の読み替えである。65万円という数字が書かれた独立の項は無い。 読み替えの規定を読まないと辿り着けない。

所得の金額でも頭打ちになる

第1項は「次に掲げる金額のうちいずれか低い金額を控除した金額とする」と書き、第1号に10万円、第2号に所得の金額の合計額を挙げている(租税特別措置法第25条の2第1項)。第3項も同じ形である(同条第3項第1号・第2号)。

したがって事業所得が30万円しかなければ、55万円の要件を満たしていても控除は30万円になる(租税特別措置法第25条の2第3項第2号)。

赤字のときは0円である。 所得を超えて引くことはできない。青色申告特別控除で所得がマイナスになることはない。上の計算は、頭打ちになったかどうかを出している。

55万円と65万円は山林所得を対象にしない

第1項は不動産所得・事業所得・山林所得の3つを挙げているが、第3項は不動産所得と事業所得の2つしか挙げていない(租税特別措置法第25条の2第1項・第3項)。

山林所得しかない場合、受けられるのは10万円までである(租税特別措置法第25条の2第1項)。

引く順番が決まっている

控除すべき金額は、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額から順次控除する(租税特別措置法第25条の2第2項)。

不動産所得から先に引く。この順序は結果に効く。 不動産所得と事業所得の両方があるとき、どちらから引くかで残る所得の内訳が変わる。

所得税法ではなく租税特別措置法にある

青色申告特別控除は所得税法に無い。租税特別措置法第25条の2にある。

青色申告の承認そのものは所得税法第143条以下にある。 承認の申請は同法第144条、帳簿書類の備付けは同法第148条である。制度が2つの法律にまたがっている。

青色申告書とは

青色申告書とは、承認を受けている居住者が提出する確定申告書等をいう(所得税法第143条)。

承認は税務署長が与える所得税法第147条)。申請書の提出があった年の12月31日までに承認または却下の処分がなければ、承認があったものとみなされる。

承認は事前に受ける

青色申告の承認を受けようとする居住者は、その年の3月15日までに申請書を提出しなければならない所得税法第144条)。

その年1月16日以後に新たに業務を開始した場合は、業務を開始した日から2か月以内である(同条ただし書)。

帳簿書類の備付け

青色申告書を提出する居住者は、財務省令で定めるところにより帳簿書類を備え付けてこれに取引を記録し、保存しなければならない所得税法第148条第1項)。

この定めは租税特別措置法第25条の2には無い。

青色事業専従者給与は別の条

青色申告者が家族に払う給与を必要経費にする制度は、所得税法第57条第1項にある。 青色申告特別控除(租税特別措置法第25条の2)とは別である。

青色事業専従者として給与の支払を受ける人は、扶養親族や同一生計配偶者から除かれる所得税法第2条第1項第33号・第34号)。扶養控除配偶者控除を参照。

適用期間の定めが無い

租税特別措置法第25条の2には、適用期間の定めが書かれていない。

同じ措置法でも、交際費(第61条の4第1項)やセルフメディケーション(第41条の17第1項)には期間の定めがある。 条ごとに違う。

端数の扱い

租税特別措置法第25条の2は端数について何も書いていない。

よくある取り違え

1. 「65万円は条文に書いてある」

読み替えで出る(租税特別措置法第25条の2第4項)。第3項第1号の「五十五万円」を「六十五万円」として適用する形である。

2. 「青色申告特別控除は所得税法にある」

租税特別措置法第25条の2にある。 所得税法には青色申告の承認(所得税法第143条以下)がある。

3. 「赤字でも65万円引ける」

不動産所得と事業所得の合計額が限度である(租税特別措置法第25条の2第1項第2号)。

4. 「複式簿記なら自動的に65万円」

55万円の要件に加えて、電子帳簿保存または e-Tax による申告が要る(租税特別措置法第25条の2第4項)。

5. 「雑所得でも使える」

不動産所得または事業所得を生ずべき事業が要件である(租税特別措置法第25条の2第3項第1号)。

よくある質問

承認はどうやって受けますか

所得税法第144条に申請の定めがある。 租税特別措置法第25条の2には書かれていない。

帳簿はどれくらい保存しますか

所得税法第148条に備付けの定めがある。

不動産所得だけでも使えますか

使える。 第3項第1号が「不動産所得又は事業所得を生ずべき事業」と書いている(租税特別措置法第25条の2第3項第1号)。ただし事業的規模かどうかの判定は同条には書かれていない。

山林所得からも引けますか

引く順序に山林所得が入っている(租税特別措置法第25条の2第2項)。不動産所得・事業所得から引いた後の話である。

期限後申告でも使えますか

租税特別措置法第25条の2には申告期限の定めが書かれていない。

青色申告特別控除と基礎控除は両方引けますか

引ける。段が違う。 青色申告特別控除は所得の計算の中(所得税法第21条第1項第1号の段)、基礎控除は所得控除(同項第3号の段)である。基礎控除を参照。

この計算が扱っていないこと

  • 事業的規模かどうかの判定。不動産所得が「事業を生ずべき事業」に当たるかどうか
  • 第4項の要件の判定(租税特別措置法第25条の2第4項)。電子帳簿保存または e-Tax による申告を満たすかどうかは利用者が選ぶ形にしている
  • 社会保険診療報酬の調整租税特別措置法第26条第1項の適用がある場合、その部分の金額は第2号の所得から除かれる(同法第25条の2第1項第2号かっこ書き)
  • 青色申告の承認(所得税法第143条以下)
  • 帳簿書類の備付け(所得税法第148条)
  • 青色事業専従者給与(所得税法第57条第1項)

数字をどう確かめたかは検算の方法にある。

関連する計算

同じ束のものと、同じ法令によるものを並べています。

この計算を何と突き合わせているか いつの条文で計算するか 計算の一覧