退職所得に係る住民税
退職所得に係る住民税とは、退職手当等の支払を受ける者に対し、他の所得と分けて計算し、支払の際に特別徴収される個人住民税の所得割である(地方税法第50条の3・第50条の4・第328条の3)。
合わせて10%になりますが、条文は1つではありません。道府県民税は地方税法第50条の4、市町村民税は同法第328条の3です。
計算例
既定の入力の場合、退職所得に係る住民税は500,000円である(地方税法第50条の2)。下の例はこの画面の計算そのもので出しており、行ごとに条番号を付けている。
既定の入力
退職所得の金額 5,000,000円
| 項目 | 金額 | 条番号 |
|---|
| 課税標準(退職所得の金額) | 5,000,000円 | 地方税法第50条の3第2項(所得税法第30条第2項に規定する退職所得の金額の計算の例によって算定する) |
| 道府県民税(100分の4) | 200,000円 | 地方税法第50条の4 |
| 市町村民税(100分の6) | 300,000円 | 地方税法第328条の3 |
| 退職所得に係る住民税 | 500,000円 | 地方税法第50条の2(税額は100円未満切捨て(地方税法第20条の4の2第3項)) |
- 均等割は退職所得の分離課税には掛からない
- 退職所得の金額そのものは所得税法第30条第2項による
道府県民税と市町村民税の両方で100円未満の端数が出る場合
退職所得の金額 1,234,567円
| 項目 | 金額 | 条番号 |
|---|
| 課税標準(退職所得の金額) | 1,234,000円 | 地方税法第50条の3第2項(所得税法第30条第2項に規定する退職所得の金額の計算の例によって算定する) |
| 道府県民税(100分の4) | 49,300円 | 地方税法第50条の4 |
| 市町村民税(100分の6) | 74,000円 | 地方税法第328条の3 |
| 退職所得に係る住民税 | 123,300円 | 地方税法第50条の2(税額は100円未満切捨て(地方税法第20条の4の2第3項)) |
- 均等割は退職所得の分離課税には掛からない
- 退職所得の金額そのものは所得税法第30条第2項による
退職所得の金額が2,000万円の場合
退職所得の金額 20,000,000円
| 項目 | 金額 | 条番号 |
|---|
| 課税標準(退職所得の金額) | 20,000,000円 | 地方税法第50条の3第2項(所得税法第30条第2項に規定する退職所得の金額の計算の例によって算定する) |
| 道府県民税(100分の4) | 800,000円 | 地方税法第50条の4 |
| 市町村民税(100分の6) | 1,200,000円 | 地方税法第328条の3 |
| 退職所得に係る住民税 | 2,000,000円 | 地方税法第50条の2(税額は100円未満切捨て(地方税法第20条の4の2第3項)) |
- 均等割は退職所得の分離課税には掛からない
- 退職所得の金額そのものは所得税法第30条第2項による
- 条番号
- 地方税法第50条の3・第50条の4・第328条の3
- 適用
- 地方税法第50条の2。退職手当等の支払を受ける者
- 出どころ
- 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)
- 適用年度
- 地方税法 2026-10-01 施行(改正版 325AC0000000226_20261001_508AC0000000002)
- 取得日
- 2026-10-04
この計算は 2026-10-04 に取った条文で動いています。 それより後に改正があれば、反映されていないことがあります。地方税法 で今の条文を確かめられます。
有資格者の監修は受けていません。ここに出る金額は、申告・届出・請求に用いる金額そのものではありません(運営者情報)。
確かめ方弱 2,001点。退職所得1万円きざみで照合。道府県民税4%と市町村民税6%が別々に切り捨てられ、合計が10%に収まることも見た(検算の3つの強さの違い)
どこまでを計算しているか
退職所得の金額そのもの(退職所得控除額と2分の1)は所得税法第30条による。この道具は退職所得の金額を入れてもらい、税率を掛けるところだけを出す。均等割は退職所得の分離課税には掛からない。
条文
地方税法(2026-10-01 施行)から取りました。44字。
この計算が使う条文は、2024年4月1日時点と1字も違いません。 比べたのは条文の文字だけです。答えが同じことまでは確かめていません(時点ごとの条文の比べ方)。
地方税法第50条の3・第50条の4・第328条の3 を開く
(分離課税に係る所得割の税率)第五十条の四分離課税に係る所得割の税率は、百分の四とする。
合わせて10%だが、条文は1つではない
この2つは別の条にある(地方税法第50条の4・第328条の3)。合わせて100分の10になるが、1つの数字で書くと、どちらの条を指しているのかが分からなくなる。
地方税法は道府県民税の章と市町村民税の章に分かれており、同じ内容が2か所に書かれている。
指定都市でも合計10%は変わらない。 所得割の一般の税率は指定都市で配分が変わるが(地方税法第35条第2項・第314条の3第2項)、分離課税に係る所得割にはその定めが無い。
他の所得と分けて課税する
当該退職手当等に係る所得を他の所得と区分し、退職手当等の支払を受けるべき日の属する年の1月1日現在におけるその者の住所所在の道府県において課する(地方税法第50条の2)。
給与や事業所得と合算しない。その年の他の所得がいくらでも、退職所得に係る住民税は変わらない。
課税するのは、退職した日ではなく、その年の1月1日の住所地である(地方税法第50条の2)。年の途中で引っ越しても、1月1日の住所地が課税する(同条)。
なぜ分離課税になっているか
住民税は前年の所得に対して翌年度に課税する仕組みである(地方税法第32条第1項)。退職金を受け取った翌年に収入があるとは限らないため、その年のうちに退職金だけを切り離して課税する。
そのため、退職金の住民税は退職の時に支払われる際に特別徴収される(地方税法第50条の5第1項・第328条の4第1項)。翌年の納税通知書には現れない。
課税標準は所得税法を借りている
所得税法第30条第2項に規定する退職所得の金額の計算の例によって算定する(地方税法第50条の3第2項)。
地方税法は自分で計算式を書いていない。 退職所得控除を引いて2分の1にした後の額である。短期退職手当等と特定役員退職手当等の扱いも、所得税法第30条第2項がそのまま効く。退職所得と退職所得控除を参照。
均等割は掛からない
均等割は所得割とは別に課される(地方税法第38条・第310条)。分離課税に係る所得割の話に均等割は入らない。
端数の扱い
| 何を | どうする | 条番号 |
|---|
| 課税標準 | 1,000円未満切捨て | 地方税法第20条の4の2第1項 |
| 税額 | 100円未満切捨て | 地方税法第20条の4の2第3項 |
道府県民税と市町村民税は、それぞれ別に100円未満を切り捨てる(地方税法第20条の4の2第3項)。合計してから切り捨てるのではない。そのため合計は、課税標準の10%(地方税法第50条の4・第328条の3)より最大199円小さくなる。
所得税との違い
| 所得税 | 住民税 |
|---|
| 税率 | 7段の超過累進(所得税法第89条第1項) | 4% + 6%(地方税法第50条の4・第328条の3) |
| 課税標準 | 課税退職所得金額 | 退職所得の金額(地方税法第50条の3第2項) |
| 徴収 | 源泉徴収(所得税法第199条) | 特別徴収(地方税法第50条の5第1項) |
退職金から引かれる所得税を参照。
よくある取り違え
1. 「住民税10%は1つの条にある」
2つの条に分かれている(地方税法第50条の4・第328条の3)。
2. 「退職金の住民税は翌年に納める」
支払を受ける際に特別徴収される(地方税法第50条の5第1項)。
3. 「退職した日の住所地が課税する」
課税するのは退職した日の住所地ではない。その年の1月1日現在の住所地である(地方税法第50条の2)。
4. 「指定都市では配分が変わる」
分離課税に係る所得割には、指定都市の特例の定めが無い。
5. 「均等割も掛かる」
掛からない(地方税法第38条・第310条)。分離課税に係る所得割の話である。
よくある質問
退職所得の受給に関する申告書を出さないと
所得税の側は20.42%になる(所得税法第201条第3項)。住民税の側は地方税法第50条の6以下に定めがある。
退職所得控除はどう計算しますか
所得税法第30条第3項による(地方税法第50条の3第2項)。
2か所から退職金を受けた場合は
所得税法第30条第6項第1号・第7項の調整が、地方税法第50条の3第2項を通じて効く。
復興特別所得税は住民税にも掛かりますか
掛からない。 復興特別所得税は所得税に対するもので(復興財確法第13条)、住民税とは別である。
森林環境税は関係しますか
森林環境税は均等割と併せて課される。 分離課税に係る所得割とは別である。
死亡退職の場合は
相続税の対象になる場合がある(相続税法第3条第1項第2号)。所得税・住民税の扱いとは別である。
この計算が扱っていないこと
- 退職所得の金額そのもの(所得税法第30条第2項)。退職所得と退職所得控除で計算した額を入れる
- 特別徴収の手続(地方税法第50条の5・第328条の4)
- 申告書を提出しない場合(地方税法第50条の6以下)
- 均等割(地方税法第38条・第310条)
退職金から引かれる所得税は退職金から引かれる所得税にある。
退職金以外の所得にかかる住民税は住民税の所得割と均等割で計算する。
関連する計算
同じ束のものと、同じ法令によるものを並べています。
この計算を何と突き合わせているか いつの条文で計算するか 計算の一覧