合わせて10%だが、条文は1つではない
| 税率 | 条番号 | |
|---|---|---|
| 道府県民税 | 100分の4 | 地方税法第50条の4 |
| 市町村民税 | 100分の6 | 地方税法第328条の3 |
この2つは別の条にある(地方税法第50条の4・第328条の3)。合わせて100分の10になるが、1つの数字で書くと、どちらの条を指しているのかが分からなくなる。
地方税法は道府県民税の章と市町村民税の章に分かれており、同じ内容が2か所に書かれている。
指定都市でも合計10%は変わらない。 所得割の一般の税率は指定都市で配分が変わるが(地方税法第35条第2項・第314条の3第2項)、分離課税に係る所得割にはその定めが無い。
他の所得と分けて課税する
当該退職手当等に係る所得を他の所得と区分し、退職手当等の支払を受けるべき日の属する年の1月1日現在におけるその者の住所所在の道府県において課する(地方税法第50条の2)。
給与や事業所得と合算しない。その年の他の所得がいくらでも、退職所得に係る住民税は変わらない。
課税するのは、退職した日ではなく、その年の1月1日の住所地である(地方税法第50条の2)。年の途中で引っ越しても、1月1日の住所地が課税する(同条)。
なぜ分離課税になっているか
住民税は前年の所得に対して翌年度に課税する仕組みである(地方税法第32条第1項)。退職金を受け取った翌年には収入が無いことが多いため、その年のうちに退職金だけを切り離して課税する。
そのため、退職金の住民税は退職の時に支払われる際に特別徴収される(地方税法第50条の5第1項・第328条の4第1項)。翌年の納税通知書には現れない。
課税標準は所得税法を借りている
所得税法第30条第2項に規定する退職所得の金額の計算の例によって算定する(地方税法第50条の3第2項)。
地方税法は自分で計算式を書いていない。 退職所得控除を引いて2分の1にした後の額である。短期退職手当等と特定役員退職手当等の扱いも、所得税法第30条第2項がそのまま効く。退職所得と退職所得控除を参照。
均等割は掛からない
均等割は所得割とは別に課される(地方税法第38条・第310条)。分離課税に係る所得割の話に均等割は入らない。
端数の扱い
| 何を | どうする | 条番号 |
|---|---|---|
| 課税標準 | 1,000円未満切捨て | 地方税法第20条の4の2第1項 |
| 税額 | 100円未満切捨て | 地方税法第20条の4の2第3項 |
道府県民税と市町村民税は、それぞれ別に100円未満を切り捨てる(地方税法第20条の4の2第3項)。合計してから切り捨てるのではない。そのため合計は、課税標準の10%(地方税法第50条の4・第328条の3)より最大199円小さくなる。
所得税との違い
| 所得税 | 住民税 | |
|---|---|---|
| 税率 | 7段の超過累進(所得税法第89条第1項) | 4% + 6%(地方税法第50条の4・第328条の3) |
| 課税標準 | 課税退職所得金額 | 退職所得の金額(地方税法第50条の3第2項) |
| 徴収 | 源泉徴収(所得税法第199条) | 特別徴収(地方税法第50条の5第1項) |
退職金から引かれる所得税を参照。
よくある取り違え
1. 「住民税10%は1つの条にある」
2つの条に分かれている(地方税法第50条の4・第328条の3)。
2. 「退職金の住民税は翌年に納める」
支払を受ける際に特別徴収される(地方税法第50条の5第1項)。
3. 「退職した日の住所地が課税する」
課税するのは退職した日の住所地ではない。その年の1月1日現在の住所地である(地方税法第50条の2)。
4. 「指定都市では配分が変わる」
分離課税に係る所得割には、指定都市の特例の定めが無い。
5. 「均等割も掛かる」
掛からない(地方税法第38条・第310条)。分離課税に係る所得割の話である。
よくある質問
退職所得の受給に関する申告書を出さないと
所得税の側は20.42%になる(所得税法第201条第3項)。住民税の側は地方税法第50条の6以下に定めがある。
退職所得控除はどう計算しますか
所得税法第30条第3項による(地方税法第50条の3第2項)。
2か所から退職金を受けた場合は
所得税法第30条第6項第1号・第7項の調整が、地方税法第50条の3第2項を通じて効く。
復興特別所得税は住民税にも掛かりますか
掛からない。 復興特別所得税は所得税に対するもので(復興財確法第13条)、住民税とは別である。
森林環境税は関係しますか
森林環境税は均等割と併せて課される。 分離課税に係る所得割とは別である。
死亡退職の場合は
相続税の対象になる場合がある(相続税法第3条第1項第2号)。所得税・住民税の扱いとは別である。
この計算が扱っていないこと
- 退職所得の金額そのもの(所得税法第30条第2項)。退職所得と退職所得控除で計算した額を入れる
- 特別徴収の手続(地方税法第50条の5・第328条の4)
- 申告書を提出しない場合(地方税法第50条の6以下)
- 均等割(地方税法第38条・第310条)
退職金から引かれる所得税は退職金から引かれる所得税にある。数字をどう確かめたかは検算の方法にある。