けんざん制度で決まった金額を、条番号つきで計算する

配偶者の相続税額の軽減

配偶者の相続税額の軽減とは、被相続人の配偶者が相続または遺贈により財産を取得した場合に、決められた金額までは相続税がかからないようにする仕組みである(相続税法第19条の2第1項/民法第890条・第900条)。

軽減されるのは1億6千万円と法定相続分の額の大きいほうまでです。ただし実際に取得した額のほうが少なければ、そちらが上限になります(相続税法第19条の2第1項第2号)。

計算する

財産を取得した全員分の合計(相続税法第19条の2第1項第2号)
実際に取得した額(相続税法第19条の2第1項第2号ロ)
軽減する前の額。総額を取得割合で按分したもの(相続税法第17条)
配偶者の法定相続分が変わる(民法第900条)

計算例

下の例はこの画面の計算そのもので出しています。 入力を変えると同じ形で計算します。どの行がどの条文から来たかを、行ごとに出しています。

既定の入力

相続税の総額 27,000,000円/課税価格の合計額 200,000,000円/配偶者が取得した課税価格 180,000,000円/配偶者の相続税額 24,300,000円/相続人の組み合わせ 配偶者と子

項目金額条番号
イ 法定相続分(1/2)に応じた額100,000,000円民法第900条第1号
イ 160,000,000円に満たないので160,000,000円160,000,000円相続税法第19条の2第1項第2号イ
ロ 配偶者が実際に取得した課税価格180,000,000円相続税法第19条の2第1項第2号
イとロのうち少ないほう(イ)160,000,000円相続税法第19条の2第1項第2号
第2号の額(総額 × 少ないほう ÷ 課税価格の合計額)21,600,000円相続税法第19条の2第1項第2号
配偶者の相続税額(軽減する前)24,300,000円相続税法第19条の2第1項第1号
配偶者が納付する相続税額2,700,000円相続税法第19条の2第1項(21,600,000円が軽減された)
  • イは法定相続分に応じた額と160,000,000円の大きいほうである(相続税法第19条の2第1項第2号イ)
  • 配偶者の法定相続分は「配偶者と子」で 1/2 である(民法第900条第1号)
  • 実際に取得した額のほうが少なければ、そちらが上限になる(同項第2号ロ)
  • 申告期限までに分割されていない財産は課税価格に含めない(相続税法第19条の2第2項)。この道具はその判定をしていない
  • 申告書に明細を添付することが要件である(相続税法第19条の2第3項)
条番号
相続税法第19条の2第1項/民法第890条第900条
適用
相続税法第19条の2第1項。被相続人の配偶者
出どころ
相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)
適用年度
相続税法 2026-04-01 施行(改正版 325AC0000000073_20260401_506AC0000000008)
出どころ
民法(明治二十九年法律第八十九号)
適用年度
民法 2026-06-24 施行(改正版 129AC0000000089_20260624_508AC0000000045)
取得日
2026-08-31

この計算は 2026-08-31 に取った条文で動いています。 それより後に改正があれば、反映されていないことがあります。相続税法 で今の条文を確かめられます。

確かめ方 イとロの選び方、1億6千万円の下限、按分を201点で照合。1億6千万円までは全額軽減になることも、201点のうちに入れて見た(3つの強さの違い

どこまでを計算しているか

配偶者の税額軽減だけを扱っている。申告期限までに分割されていない財産は課税価格に含めない(相続税法第19条の2第2項)。申告書に明細を添付することが要件である(同条第3項)。相続税の総額と課税価格の合計額は、相続税の基礎控除と総額のページで計算したものを入れること。

条文

相続税法(2026-04-01 施行)/民法(2026-06-24 施行)から取りました。1944字。

この計算が使う条文は、2024年4月1日時点と1字も違いません。 比べたのは条文の文字だけです。答えが同じことまでは確かめていません(比べ方)。

相続税法第19条の2第1項/民法第890条・第900条 を開く

(配偶者に対する相続税額の軽減)第十九条の二被相続人の配偶者が当該被相続人からの相続又は遺贈により財産を取得した場合には、当該配偶者については、第一号に掲げる金額から第二号に掲げる金額を控除した残額があるときは、当該残額をもつてその納付すべき相続税額とし、第一号に掲げる金額が第二号に掲げる金額以下であるときは、その納付すべき相続税額は、ないものとする。一当該配偶者につき第十五条から第十七条まで及び前条の規定により算出した金額二当該相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の総額に、次に掲げる金額のうちいずれか少ない金額が当該相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格の合計額のうちに占める割合を乗じて算出した金額イ当該相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格の合計額に民法第九百条(法定相続分)の規定による当該配偶者の相続分(相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかつたものとした場合における相続分)を乗じて算出した金額(当該被相続人の相続人(相続の放棄があつた場合には、その放棄がなかつたものとした場合における相続人)が当該配偶者のみである場合には、当該合計額)に相当する金額(当該金額が一億六千万円に満たない場合には、一億六千万円)ロ当該相続又は遺贈により財産を取得した配偶者に係る相続税の課税価格に相当する金額2前項の相続又は遺贈に係る第二十七条の規定による申告書の提出期限(以下この項において「申告期限」という。)までに、当該相続又は遺贈により取得した財産の全部又は一部が共同相続人又は包括受遺者によつてまだ分割されていない場合における前項の規定の適用については、その分割されていない財産は、同項第二号ロの課税価格の計算の基礎とされる財産に含まれないものとする。ただし、その分割されていない財産が申告期限から三年以内(当該期間が経過するまでの間に当該財産が分割されなかつたことにつき、当該相続又は遺贈に関し訴えの提起がされたことその他の政令で定めるやむを得ない事情がある場合において、政令で定めるところにより納税地の所轄税務署長の承認を受けたときは、当該財産の分割ができることとなつた日として政令で定める日の翌日から四月以内)に分割された場合には、その分割された財産については、この限りでない。3第一項の規定は、第二十七条の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書及びこれらの申告書に係る修正申告書を含む。第五項において同じ。)又は国税通則法第二十三条第三項(更正の請求)に規定する更正請求書に、第一項の規定の適用を受ける旨及び同項各号に掲げる金額の計算に関する明細の記載をした書類その他の財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する。4税務署長は、前項の財務省令で定める書類の添付がない同項の申告書又は更正請求書の提出があつた場合においても、その添付がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、当該書類の提出があつた場合に限り、第一項の規定を適用することができる。5第一項の相続又は遺贈により財産を取得した者が、隠蔽仮装行為に基づき、第二十七条の規定による申告書を提出しており、又はこれを提出していなかつた場合において、当該相続又は遺贈に係る相続税についての調査があつたことにより当該相続税について更正又は決定があるべきことを予知して期限後申告書又は修正申告書を提出するときは、当該期限後申告書又は修正申告書に係る相続税額に係る同項の規定の適用については、同項第二号中「相続税の総額」とあるのは「相続税の総額で当該相続に係る被相続人の配偶者が行つた第六項に規定する隠蔽仮装行為による事実に基づく金額に相当する金額を当該財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格に含まないものとして計算したもの」と、「課税価格の合計額のうち」とあるのは「課税価格の合計額から当該相当する金額を控除した残額のうち」と、同号イ中「課税価格の合計額」とあるのは「課税価格の合計額から第六項に規定する隠蔽仮装行為による事実に基づく金額に相当する金額(当該配偶者に係る相続税の課税価格に算入すべきものに限る。)を控除した残額」と、同号ロ中「課税価格」とあるのは「課税価格から第六項に規定する隠蔽仮装行為による事実に基づく金額に相当する金額(当該配偶者に係る相続税の課税価格に算入すべきものに限る。)を控除した残額」とする。6前項の「隠蔽仮装行為」とは、相続又は遺贈により財産を取得した者が行う行為で当該財産を取得した者に係る相続税の課税価格の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装することをいう。

被相続人の配偶者が相続または遺贈により財産を取得した場合、一定の額まで相続税がかからない(相続税法第19条の2第1項)。

条文は「第一号に掲げる金額から第二号に掲げる金額を控除した残額があるときは、当該残額をもつてその納付すべき相続税額とし、第一号に掲げる金額が第二号に掲げる金額以下であるときは、その納付すべき相続税額は、ないものとする」と書いている(相続税法第19条の2第1項)。

「軽減額」という言葉は条文に無い。 2つの金額を比べて、残りがあればそれが納付する額になる、という形である。

中身条番号
第1号配偶者の相続税額(軽減する前)相続税法第19条の2第1項第1号
第2号相続税の総額 ×(イとロのうち少ない額 ÷ 課税価格の合計額)同項第2号

イは「法定相続分」と「1億6千万円」の大きいほう

第2号イは、課税価格の合計額に配偶者の法定相続分を掛けた額とし、「当該金額が一億六千万円に満たない場合には、一億六千万円」と書いている(相続税法第19条の2第1項第2号イ)。

相続人配偶者の法定相続分条番号
配偶者と子2分の1民法第900条第1号
配偶者と直系尊属3分の2同条第2号
配偶者と兄弟姉妹4分の3同条第3号
配偶者だけ全部民法第890条

課税価格の合計額が2億円で配偶者と子なら、法定相続分の額は1億円である。1億6千万円に満たないので、イは1億6千万円になる(相続税法第19条の2第1項第2号イ)。

課税価格の合計額が5億円なら、法定相続分の額は2億5千万円になり、こちらが使われる(同号イ)。

ロは実際に取得した額

第2号ロは「当該相続又は遺贈により財産を取得した配偶者に係る相続税の課税価格に相当する金額」である(相続税法第19条の2第1項第2号ロ)。

イとロのうち少ないほうを使う(同項第2号)。実際に取得した額が1億6千万円より少なければ、そこまでしか軽減されない。ただし取得した額と同じなので、結果として配偶者の税額はゼロになる。

超えると残る

課税価格の合計額2億円、相続税の総額2,700万円、配偶者が1億8千万円を取得した場合を考える(相続税法第19条の2第1項)。

計算条番号
法定相続分1億円が1億6千万円に満たないので1億6千万円相続税法第19条の2第1項第2号イ
1億8千万円同項第2号ロ
少ないほう1億6千万円同項第2号
第2号2,700万円 × 1億6千万円 ÷ 2億円 = 2,160万円同項第2号
第1号2,700万円 × 1億8千万円 ÷ 2億円 = 2,430万円同項第1号
納付する額2,430万円 − 2,160万円 = 270万円同項

この計算が扱っていないこと

配偶者の相続税額そのものを計算していない。 相続税の総額を取得割合で按分したものである(相続税法第17条)。入れた額を使う。

申告期限までに分割されていない財産の扱いを判定していない(相続税法第19条の2第2項)。分割されていない財産は第2号ロの課税価格に含めない。

申告書に明細を添付することが要件である(相続税法第19条の2第3項)。この道具はその判定をしていない。

代襲相続(民法第901条)と、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分の半減(同法第900条第4号ただし書)も扱っていない。

配偶者以外の相続人の税額は出していない。

相続税の総額そのものは相続税の基礎控除と総額にある。生前の贈与税は別のページにある。数字をどう確かめたかは検算の方法に書いてある。

関連する計算

同じ束のものと、同じ法令によるものを並べています。

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