労災の休業補償給付と休業特別支給金
休業補償給付とは、業務上の負傷または疾病による療養のため労働することができず賃金を受けない日について、給付基礎日額をもとに支給される労災保険の給付である(労働者災害補償保険法第8条第1項・第14条第1項/労働者災害補償保険特別支給金支給規則第3条第1項)。
60%は法律、20%は省令にあります。合わせて80%と言われるのは、2つの別の根拠を足した数です(労働者災害補償保険法第14条第1項・特別支給金支給規則第3条第1項)。
計算例
下の例はこの画面の計算そのもので出しています。 入力を変えると同じ形で計算します。どの行がどの条文から来たかを、行ごとに出しています。
既定の入力
給付基礎日額 10,000円/休業した日数 30日/所定労働時間の一部だけ働いた日(部分算定日) いいえ/その日に支払われる賃金 0円
| 項目 | 金額 | 条番号 |
|---|
| 休業補償給付の日額(60%) | 6,000円 | 労働者災害補償保険法第14条第1項 |
| 休業特別支給金の日額(20%) | 2,000円 | 労働者災害補償保険特別支給金支給規則第3条第1項 |
| 休業補償給付(30日分) | 180,000円 | 労働者災害補償保険法第14条第1項 |
| 休業特別支給金(30日分) | 60,000円 | 労働者災害補償保険特別支給金支給規則第3条第1項 |
| 合わせて受け取れる額(30日分) | 240,000円 | 労働者災害補償保険法第14条第1項(1日あたり 8,000円(60% + 20%)) |
- 給付基礎日額は労働基準法第12条の平均賃金に相当する額である(労働者災害補償保険法第8条第1項)
- 賃金を受けない日の第4日目から支給される(労働者災害補償保険法第14条第1項)
- 60%は法律、20%は省令にある。根拠が別なので、労働者災害補償保険法第14条第1項と労働者災害補償保険特別支給金支給規則第3条第1項の2つを出している
- スライド制と年齢階層別の最低・最高限度額は扱っていない
- 条番号
- 労働者災害補償保険法第8条第1項・第14条第1項/労働者災害補償保険特別支給金支給規則第3条第1項
- 適用
- 労働者災害補償保険法第14条第1項。業務上の負傷・疾病で休業する労働者
- 出どころ
- 労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)
- 適用年度
- 労働者災害補償保険法 2026-07-17 施行(改正版 322AC0000000050_20260717_508AC0000000060)
- 出どころ
- 労働者災害補償保険特別支給金支給規則(昭和四十九年労働省令第三十号)
- 適用年度
- 労働者災害補償保険特別支給金支給規則 2025-06-01 施行(改正版 349M50002000030_20250601_507M60000100062)
- 取得日
- 2026-08-31
この計算は 2026-08-31 に取った条文で動いています。 それより後に改正があれば、反映されていないことがあります。労働者災害補償保険法 で今の条文を確かめられます。
確かめ方弱 60%と20%、部分算定日、待期。給付と特別支給金の比が3対1から離れないことを10,001点で見た(3つの強さの違い)
どこまでを計算しているか
業務上の負傷・疾病による休業補償給付だけを扱っている。通勤災害の休業給付(労働者災害補償保険法第22条の2)は同条第3項が第14条を準用しており、額は同じである。給付基礎日額そのものは計算していない。労働基準法第12条の平均賃金を入れてもらう形にしている。スライド制(労働者災害補償保険法第8条の2第1項)と年齢階層別の最低限度額・最高限度額(同条第2項)は扱っていない。障害厚生年金・障害基礎年金との調整(同法第14条第2項)も扱っていない。休業補償給付を受けられる日かどうかの判定はしていない。傷病補償年金の受給権者には特別支給金が支給されない(労働者災害補償保険特別支給金支給規則第3条第1項かっこ書き)。この道具はその判定もしていない。
条文
労働者災害補償保険法(2026-07-17 施行)/労働者災害補償保険特別支給金支給規則(2025-06-01 施行)から取りました。654字。
この計算が使う条文は、2024年4月1日時点から変わっています。 文字が変わったことだけを確かめています。答えが変わるかは別です(何が変わったか)。
労働者災害補償保険法第8条第1項・第14条第1項/労働者災害補償保険特別支給金支給規則第3条第1項 を開く
第十四条休業補償給付は、労働者が業務上の負傷又は疾病による療養のため労働することができないために賃金を受けない日の第四日目から支給するものとし、その額は、一日につき給付基礎日額の百分の六十に相当する額とする。ただし、労働者が業務上の負傷又は疾病による療養のため所定労働時間のうちその一部分についてのみ労働する日若しくは賃金が支払われる休暇(以下この項において「部分算定日」という。)又は複数事業労働者の部分算定日に係る休業補償給付の額は、給付基礎日額(第八条の二第二項第二号に定める額(以下この項において「最高限度額」という。)を給付基礎日額とすることとされている場合にあつては、同号の規定の適用がないものとした場合における給付基礎日額)から部分算定日に対して支払われる賃金の額を控除して得た額(当該控除して得た額が最高限度額を超える場合にあつては、最高限度額に相当する額)の百分の六十に相当する額とする。休業補償給付を受ける労働者が同一の事由について厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)の規定による障害厚生年金又は国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)の規定による障害基礎年金を受けることができるときは、当該労働者に支給する休業補償給付の額は、前項の規定にかかわらず、同項の額に別表第一第一号から第三号までに規定する場合に応じ、それぞれ同表第一号から第三号までの政令で定める率のうち傷病補償年金について定める率を乗じて得た額(その額が政令で定める額を下回る場合には、当該政令で定める額)とする。
業務上の負傷または疾病による療養のため労働できず、賃金を受けない日には、休業補償給付が支給される(労働者災害補償保険法第14条第1項)。
「休業した日の8割が出る」と言われるが、8割という数字はどこにも書かれていない。 2つの別の根拠を足した数である。
60%は法律、20%は省令にある
合わせて80%になるが、根拠が法律と省令に分かれている(労働者災害補償保険法第14条第1項・労働者災害補償保険特別支給金支給規則第3条第1項)。「休業補償は8割」と1つの数字で言うと、どちらの根拠を指しているのか分からなくなる。この道具は、2つを分けて出す。
給付基礎日額は労働基準法の平均賃金
労働者災害補償保険法第8条第1項は「給付基礎日額は、労働基準法第十二条の平均賃金に相当する額とする」と書いている(労働者災害補償保険法第8条第1項)。
平均賃金そのものの計算は平均賃金・休業手当・解雇予告手当にある。
第4日目から支給する
労働することができないために賃金を受けない日の第4日目から支給する(労働者災害補償保険法第14条第1項)。休業特別支給金も同じである(労働者災害補償保険特別支給金支給規則第3条第1項)。
待期は3日である。 ただし条文は「3日」と書いていない。「第四日目から」と書いている。待期の3日はそこから導かれる数である。
最初の3日は支給されない。 業務上の災害であれば、その3日分は事業主が労働基準法第76条の休業補償をする。
一部だけ働いた日は、差額の60%
所定労働時間のうち一部分についてのみ労働する日(部分算定日)は、給付基礎日額から支払われる賃金の額を控除した額の100分の60である(労働者災害補償保険法第14条第1項ただし書)。
給付基礎日額そのものの60%ではない(労働者災害補償保険法第14条第1項ただし書)。差額に対して60%を掛ける。
給付基礎日額10,000円でその日の賃金が4,000円なら、6,000円の60%で3,600円になる(労働者災害補償保険法第14条第1項ただし書)。休業特別支給金も同じ形である(労働者災害補償保険特別支給金支給規則第3条第1項ただし書)。
障害年金を受けられるときは減る
同一の事由について障害厚生年金または障害基礎年金を受けることができるときは、額に政令で定める率を乗じる(労働者災害補償保険法第14条第2項)。
率は別表第一第1号から第3号までの政令で定める率のうち、傷病補償年金について定める率である(同項)。その額が政令で定める額を下回る場合には、政令で定める額になる(同項かっこ書き)。
この道具は併給の調整を計算していない。
業務災害の保険給付の1つ
労働者災害補償保険法第12条の8第1項第2号である。 7つの給付のうちの1つで、療養補償給付(第1号)や障害補償給付(第3号)とは別である。労災の障害補償給付を参照。
業務災害と通勤災害で名前が変わる
通勤災害には「補償」が付かない。 使用者の災害補償責任(労働基準法第75条以下)に対応するのが業務災害だからである。
額は同じである。 労働者災害補償保険法第22条の2第3項が第14条を準用している。
労働基準法の休業補償とは別
使用者の災害補償は労働基準法第76条にある。 労災保険から給付が行われる場合、使用者は補償の責を免れる(労働基準法第84条第1項)。
平均賃金の60%という数字は労働基準法第76条第1項にもある。 根拠が2つあることになるが、この道具は労働者災害補償保険法第14条の側を扱っている。平均賃金・休業手当・解雇予告手当を参照。
課税されない
租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金品を標準として、課することができない(労働者災害補償保険法第12条の6)。
よくある取り違え
1. 「休業補償は8割と労災保険法に書いてある」
60%が労働者災害補償保険法第14条第1項、20%が労働者災害補償保険特別支給金支給規則第3条第1項である。 1つの条には書かれていない。
2. 「待期の3日は条文に書いてある」
「第四日目から支給する」と書いてある(労働者災害補償保険法第14条第1項)。3日という数は導かれるものである。
3. 「一部働いた日は給付基礎日額の60%」
差額の60%である(労働者災害補償保険法第14条第1項ただし書)。
4. 「障害年金と全額を両方受けられる」
調整がある(労働者災害補償保険法第14条第2項)。
5. 「休業補償給付に所得税がかかる」
かからない(労働者災害補償保険法第12条の6)。
よくある質問
給付基礎日額とは何ですか
労働者災害補償保険法第8条にある。 労働基準法第12条の平均賃金に相当する額である。
待期の3日間はどうなりますか
業務災害の場合、使用者が労働基準法第76条第1項の休業補償を行う。 労災保険からは出ない。
通勤災害でも同じですか
通勤災害の休業給付は労働者災害補償保険法第22条の2にある。 待期の扱いが違う。
いつまで支給されますか
療養開始後1年6か月を経過して傷病等級に該当すると、傷病補償年金に切り替わる(労働者災害補償保険法第12条の8第3項)。
有給休暇を使った日は
第14条第1項は「賃金を受けない日」と書いている(労働者災害補償保険法第14条第1項)。
最高限度額とは何ですか
労働者災害補償保険法第8条の2第2項第2号にある。 給付基礎日額に上限を設ける定めである。
この計算が扱っていないこと
- 給付基礎日額そのもの(労働者災害補償保険法第8条)。入れた額を使う
- スライド制と年齢階層別の最低限度額・最高限度額(労働者災害補償保険法第8条の2第1項・第2項)。休業が長引くと給付基礎日額が改定されることがある
- 障害厚生年金・障害基礎年金との併給の調整(労働者災害補償保険法第14条第2項の政令)
- 通勤災害の休業給付(労働者災害補償保険法第22条の2)
- 傷病補償年金の受給権者かどうかの判定(労働者災害補償保険特別支給金支給規則第3条第1項かっこ書き)。受給権者には休業特別支給金が支給されない
- 支給される日かどうかの判定。日数は利用者が入れる
- 使用者の災害補償(労働基準法第76条)
私傷病のときの傷病手当金・出産手当金は健康保険法にあり、別の制度である。数字をどう確かめたかは検算の方法に書いてある。
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同じ束のものと、同じ法令によるものを並べています。
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