けんざん制度で決まった金額を、条番号つきで計算する

法定相続分の計算

法定相続分とは、同順位の相続人が数人あるときに、それぞれが相続する割合として民法が定めるものである(民法第887条・第889条・第890条・第900条)。

配偶者は常に相続人です(民法第890条)。血族は子・直系尊属・兄弟姉妹の順で、先の順位がいれば後の順位は相続人になりません(民法第887条第1項・第889条第1項)。

計算する

分ける対象の財産の額。相続分の割合を掛ける
配偶者は常に相続人となる(民法第890条)
子がいれば、直系尊属と兄弟姉妹は相続人にならない(民法第887条第1項・第889条第1項)
子がいないときに相続人となる(民法第889条第1項第1号)
子も直系尊属もいないときに相続人となる(民法第889条第1項第2号)
相続分は父母の双方を同じくする兄弟姉妹の2分の1(民法第900条第4号ただし書)

計算例

下の例はこの画面の計算そのもので出しています。 入力を変えると同じ形で計算します。どの行がどの条文から来たかを、行ごとに出しています。

既定の入力

遺産の額 60,000,000円/配偶者 いる/子の人数 2人/直系尊属の人数 0人/兄弟姉妹(父母の双方を同じくする) 0人/兄弟姉妹(父母の一方のみを同じくする) 0人

項目金額条番号
配偶者(2分の1)30,000,000円民法第900条第1号
子2人ぶん(2分の1)30,000,000円民法第900条第1号(2人で等しく分ける(民法第900条第4号))
  • 血族の相続人は子である(民法第887条第1項)
  • 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は相等しい(民法第900条第4号)
条番号
民法第887条第889条第890条第900条
適用
民法第887条・第889条・第890条・第900条。遺言による指定が無い場合
出どころ
民法(明治二十九年法律第八十九号)
適用年度
民法 2026-06-24 施行(改正版 129AC0000000089_20260624_508AC0000000045)
取得日
2026-08-31

この計算は 2026-08-31 に取った条文で動いています。 それより後に改正があれば、反映されていないことがあります。民法 で今の条文を確かめられます。

確かめ方 2,591点。順位(子・直系尊属・兄弟姉妹)× 配偶者の有無 × 人数0〜5人の全組み合わせで、取り分の合計が遺産の額と一致することを照合。半血の兄弟姉妹が全血の2分の1になることも見た(3つの強さの違い

どこまでを計算しているか

遺言による指定相続分(民法第902条)があるときは、そちらが優先する。内縁の配偶者は民法第890条の配偶者に当たらない。

条文

民法(2026-06-24 施行)から取りました。297字。

この計算が使う条文は、2024年4月1日時点と1字も違いません。 比べたのは条文の文字だけです。答えが同じことまでは確かめていません(比べ方)。

民法第887条・第889条・第890条・第900条 を開く

(法定相続分)第九百条同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。一子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。二配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。三配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。四子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。

誰が相続人になるか

配偶者は常に相続人となる民法第890条)。血族には順位があり、先の順位の人がいれば、後の順位の人は相続人にならない

順位誰か条番号
第1順位民法第887条第1項
第2順位直系尊属民法第889条第1項第1号
第3順位兄弟姉妹民法第889条第1項第2号

子が1人でもいれば、直系尊属も兄弟姉妹も相続人にならない。

直系尊属は、親等の近い者が先

親等の異なる者の間では、その近い者を先にする(民法第889条第1項第1号ただし書)。

父母と祖父母がいれば父母だけが相続人になる。 同じ順位の中にさらに順序がある。

配偶者は同順位に入る

被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第887条又は第889条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする(民法第890条)。

配偶者は順位の外にいるのではなく、血族相続人と同順位に並ぶ。 そのうえで第900条の各号が割合を決める。

割合は組み合わせで決まる

相続人配偶者血族条番号
子と配偶者2分の12分の1民法第900条第1号
直系尊属と配偶者3分の23分の1民法第900条第2号
兄弟姉妹と配偶者4分の34分の1民法第900条第3号

配偶者がいない場合、血族の相続人が全部を相続する。 民法第900条は「同順位の相続人が数人あるとき」の定めなので、配偶者がいなければこの表の割合は使わない。

同じ順位の人が数人いるときは、各自の相続分は相等しい(民法第900条第4号)。

半血の兄弟姉妹だけ、割合が違う

父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1である(民法第900条第4号ただし書)。

子と直系尊属にこの区別はない。 第4号ただし書が兄弟姉妹だけを対象にしている。

上の計算では、全血を2・半血を1として頭数を置き換えて割っている。

代襲相続は、条が2つに分かれている

子が相続の開始以前に死亡したとき、その者の子が代襲して相続人となる(民法第887条第2項)。ただし被相続人の直系卑属でない者は代襲しない(同項ただし書)。

代襲者がさらに死亡した場合も準用される(民法第887条第3項)。孫、ひ孫と下に続く。

兄弟姉妹の側も代襲するが、こちらは1代限りである。 民法第889条第2項が準用しているのは第887条第2項だけで、第3項を準用していない。甥・姪までで、その子には及ばない。

代襲の範囲条番号
孫・ひ孫と下に続く(再代襲あり)民法第887条第2項・第3項
兄弟姉妹甥・姪まで(再代襲なし)民法第889条第2項

代襲相続人の相続分は、その直系尊属が受けるべきであったものと同じである民法第901条第1項)。直系卑属が数人あるときは、その部分について第900条に従って定める(同項ただし書)。

相続の放棄をすると、初めから相続人でなかったことになる

相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす民法第939条)。

代襲もしない。 第887条第2項が代襲の原因として挙げているのは、死亡・第891条の相続欠格・廃除の3つで、放棄は入っていない。

この道具は放棄を扱っていない。

遺言があれば、そちらが優先する

被相続人は、遺言で共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる民法第902条第1項)。

第900条・第901条は「前二条の規定にかかわらず」と打ち消される。 遺言による指定があれば法定相続分は使わない。

ただし一部の相続人についてだけ定めたときは、他の共同相続人の相続分は第900条・第901条による(民法第902条第2項)。

相続税の計算にも使われる

相続税の総額は、法定相続人が法定相続分に応じて取得したものとして計算する相続税法第16条)。

実際にどう分けたかに関わらず、まず法定相続分で割って税率を当てる。相続税の基礎控除と総額を参照。

遺留分の各自の額も、法定相続分を掛けて出す民法第1042条第2項)。遺留分を参照。

よくある取り違え

1. 「放棄した人の子が代襲する」

しない(民法第887条第2項・第939条)。代襲の原因は死亡・相続欠格・廃除の3つである。

2. 「甥や姪の子も代襲する」

しない(民法第889条第2項)。準用されているのは第887条第2項だけで、再代襲の第3項は準用されていない。

3. 「祖父母も父母と一緒に相続人になる」

親等の近い者が先である(民法第889条第1項第1号ただし書)。

4. 「配偶者は別枠で先に取る」

同順位に並ぶ(民法第890条)。そのうえで第900条各号の割合になる。

5. 「遺言があっても法定相続分で分ける」

遺言による指定が優先する(民法第902条第1項)。

よくある質問

内縁の配偶者は相続人になりますか

民法第890条は「被相続人の配偶者」と書いている。 婚姻していることが前提である。

養子も子に入りますか

民法第887条第1項は「被相続人の子」と書いている。 養子縁組の効力は民法第809条にある。

胎児はどうなりますか

民法第886条第1項に「相続については、既に生まれたものとみなす」という定めがある。

相続人が誰もいない場合は

民法第951条以下に相続人不存在の定めがある。

特別受益や寄与分は反映されますか

特別受益は民法第903条、寄与分は同法第904条の2にある。 この道具は第900条の法定相続分だけを出している。

相続欠格とは何ですか

民法第891条に定めがある。

この計算が扱っていないこと

  • 代襲相続(民法第887条第2項・第3項、第889条第2項、第901条)
  • 相続放棄(民法第939条)。放棄した人は初めから相続人でなかったことになる
  • 遺言による相続分の指定(民法第902条)。指定があればそちらが優先する
  • 特別受益(民法第903条)・寄与分(民法第904条の2)
  • 相続欠格(民法第891条)・廃除民法第892条
  • 内縁の配偶者。民法第890条の配偶者に当たらない

数字をどう確かめたかは検算の方法にある。

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