変動所得・臨時所得の平均課税
平均課税とは、変動所得と臨時所得の合計額が総所得金額に占める割合が一定以上である場合に、税率の適用のしかたを変える仕組みである(所得税法第90条)。
先に使えるかどうかの線があります。変動所得と臨時所得の合計額が総所得金額の20%以上でなければ適用しません(所得税法第90条第1項)。
計算例
下の例はこの画面の計算そのもので出しています。 入力を変えると同じ形で計算します。どの行がどの条文から来たかを、行ごとに出しています。
既定の入力
総所得金額 10,000,000円/平均課税対象金額 4,000,000円/課税総所得金額 8,000,000円
| 項目 | 金額 | 条番号 |
|---|
| 総所得金額の20% | 2,000,000円 | 所得税法第90条第1項 |
| 調整所得金額 | 4,800,000円 | 所得税法第90条第1項第1号(課税総所得金額から平均課税対象金額の5分の4を控除した金額。課税総所得金額が平均課税対象金額以下であるときは、その5分の1) |
| 第1号の税額(調整所得金額に対する税額) | 532,500円 | 所得税法第90条第1項第1号 |
| 残りの課税総所得金額 | 3,200,000円 | 所得税法第90条第1項第2号 |
| 第2号の税額 | 352,000円 | 所得税法第90条第1項第2号(平均税率 0.11(所得税法第90条第2項)) |
| 平均課税による所得税額 | 884,500円 | 所得税法第90条第1項 |
- 小数点以下2位まで算出し、3位以下を切り捨てる(所得税法第90条第2項)
- 平均課税を使わない場合の税額は 1,204,000円
- 条番号
- 所得税法第90条
- 適用
- 所得税法第90条第1項。変動所得と臨時所得の合計額が総所得金額の20%以上である居住者
- 出どころ
- 所得税法(昭和四十年法律第三十三号)
- 適用年度
- 所得税法 2026-08-12 施行(改正版 340AC0000000033_20260812_508AC0000000064)
- 取得日
- 2026-08-31
この計算は 2026-08-31 に取った条文で動いています。 それより後に改正があれば、反映されていないことがあります。所得税法 で今の条文を確かめられます。
確かめ方弱 1,680点。適用の線(20%)の内と外、課税総所得金額が平均課税対象金額を超える場合と以下の場合の両方を照合。平均課税の税額が通常の税額を超えないことも見た(3つの強さの違い)
条文
所得税法(2026-08-12 施行)から取りました。696字。
この計算が使う条文は、2024年4月1日時点と1字も違いません。 比べたのは条文の文字だけです。答えが同じことまでは確かめていません(比べ方)。
所得税法第90条 を開く
(変動所得及び臨時所得の平均課税)第九十条居住者のその年分の変動所得の金額及び臨時所得の金額の合計額(その年分の変動所得の金額が前年分及び前前年分の変動所得の金額の合計額の二分の一に相当する金額以下である場合には、その年分の臨時所得の金額)がその年分の総所得金額の百分の二十以上である場合には、その者のその年分の課税総所得金額に係る所得税の額は、次に掲げる金額の合計額とする。一その年分の課税総所得金額に相当する金額から平均課税対象金額の五分の四に相当する金額を控除した金額(当該課税総所得金額が平均課税対象金額以下である場合には、当該課税総所得金額の五分の一に相当する金額。以下この条において「調整所得金額」という。)をその年分の課税総所得金額とみなして前条第一項の規定を適用して計算した税額二その年分の課税総所得金額に相当する金額から調整所得金額を控除した金額に前号に掲げる金額の調整所得金額に対する割合を乗じて計算した金額2前項第二号に規定する割合は、小数点以下二位まで算出し、三位以下を切り捨てたところによるものとする。3第一項に規定する平均課税対象金額とは、変動所得の金額(前年分又は前前年分の変動所得の金額がある場合には、その年分の変動所得の金額が前年分及び前前年分の変動所得の金額の合計額の二分の一に相当する金額を超える場合のその超える部分の金額)と臨時所得の金額との合計額をいう。4第一項の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に同項の規定の適用を受ける旨の記載があり、かつ、同項各号に掲げる金額の合計額の計算に関する明細を記載した書類の添付がある場合に限り、適用する。
先に「使えるかどうか」の線がある
変動所得の金額と臨時所得の金額の合計額が、その年分の総所得金額の20%以上である場合に適用する(所得税法第90条第1項)。
届かなければ平均課税は使わない。通常の税額(所得税法第89条第1項)になる。
柱書のかっこ書きに、もう一段ある。
その年分の変動所得の金額が前年分及び前前年分の変動所得の金額の合計額の二分の一に相当する金額以下である場合には、その年分の臨時所得の金額
変動所得が過去2年の平均以下なら、線の判定に使うのは臨時所得だけになる(所得税法第90条第1項かっこ書き)。変動所得が例年並みなら「変動」していないので、判定から外れる。
調整所得金額の出し方は2通りある
| 場合 | 調整所得金額 | 条番号 |
|---|
| 課税総所得金額が平均課税対象金額を超える | 課税総所得金額 − 平均課税対象金額の5分の4 | 所得税法第90条第1項第1号 |
| 課税総所得金額が平均課税対象金額以下 | 課税総所得金額の5分の1 | 同号かっこ書き |
かっこ書きを落とすと、平均課税対象金額が大きいときに調整所得金額が負になる。 条文がかっこ書きで押さえている。
第2号は、割合を掛けて戻す
第1号の税額を調整所得金額で割った割合を、残りの課税総所得金額に掛ける(所得税法第90条第1項第2号)。
その年分の課税総所得金額に相当する金額から調整所得金額を控除した金額に前号に掲げる金額の調整所得金額に対する割合を乗じて計算した金額
調整所得金額に当たった平均の税率を、残りにも当てる形である。 超過累進の上の段に届かないようにしている。
割合は小数2位まで
小数点以下2位まで算出し、3位以下を切り捨てる(所得税法第90条第2項)。
この道具は100倍した整数で持って切り捨てている。 小数で持つと桁が落ちる。
平均課税対象金額とは何か
変動所得の金額と臨時所得の金額との合計額である(所得税法第90条第3項)。
ただし前年分または前前年分の変動所得がある場合は、変動所得の側が調整される(同項)。その年分の変動所得の金額が前年分および前前年分の合計額の2分の1を超える場合の、その超える部分の金額だけを使う。
この道具は、利用者が入れた平均課税対象金額をそのまま使う。 第3項の調整は計算していない。
変動所得と臨時所得の定義
| 語 | 条番号 |
|---|
| 変動所得 | 所得税法第2条第1項第23号 |
| 臨時所得 | 所得税法第2条第1項第24号 |
どちらも「政令で定めるもの」で閉じている。 具体的な範囲は所得税法施行令第7条・第8条にある。この道具は判定をしていない。
適用には申告書の記載が要る
確定申告書、修正申告書又は更正請求書に適用を受ける旨の記載があり、かつ、明細を記載した書類の添付がある場合に限り適用する(所得税法第90条第4項)。
自動では適用されない。
よくある取り違え
1. 「変動所得があれば使える」
総所得金額の20%以上という線がある(所得税法第90条第1項)。
2. 「調整所得金額は必ず5分の1」
課税総所得金額が平均課税対象金額を超えるときは、5分の4を引く形である(所得税法第90条第1項第1号)。
3. 「割合は小数のまま使う」
小数点以下2位までで、3位以下を切り捨てる(所得税法第90条第2項)。
4. 「自動的に税額の小さいほうで計算される」
申告書に適用を受ける旨の記載と明細の添付が要る(所得税法第90条第4項)。
5. 「変動所得は毎年あっても使える」
前年分・前前年分の合計の2分の1以下なら、判定は臨時所得だけになる(所得税法第90条第1項かっこ書き)。
よくある質問
山林所得や退職所得にも使えますか
第1項は「課税総所得金額に係る所得税の額」と書いている(所得税法第90条第1項)。課税総所得金額の側だけである。
平均課税を使うと必ず税額が下がりますか
上の計算は、平均課税を使わない場合の税額も並べて出している。 数字を比べること。
変動所得とは何ですか
所得税法第2条第1項第23号に定義があり、範囲は政令で定める。 漁獲・のり・原稿・作曲の報酬などが所得税法施行令第7条にある。
臨時所得とは何ですか
所得税法第2条第1項第24号に定義があり、範囲は所得税法施行令第8条にある。
前年の変動所得はどう影響しますか
第3項が平均課税対象金額の計算を調整する(所得税法第90条第3項)。この道具は調整後の額を入れてもらう形にしている。
修正申告でも使えますか
使える。 第4項が「確定申告書、修正申告書又は更正請求書」と書いている(所得税法第90条第4項)。
この計算が扱っていないこと
- 変動所得・臨時所得の判定(所得税法第2条第1項第23号・第24号と施行令第7条・第8条)
- 第3項の平均課税対象金額の調整(所得税法第90条第3項)。利用者が入れた額をそのまま使う
- 第4項の申告の要件(所得税法第90条第4項)
数字をどう確かめたかは検算の方法にある。
関連する計算
同じ束のものと、同じ法令によるものを並べています。
この計算を何と突き合わせているか いつの条文で計算するか 計算の一覧