平均賃金・休業手当・解雇予告手当の計算
平均賃金とは、算定すべき事由の発生した日以前3か月間にその労働者に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう(労働基準法第12条第1項)。
休業手当も解雇予告手当も、平均賃金を基礎にします。日給・時給の場合は最低保障があります(労働基準法第12条第1項第1号)。
計算例
既定の入力の場合、解雇の予告をしない場合の手当(平均賃金の30日分)は293,460円である(労働基準法第20条第1項)。下の例はこの画面の計算そのもので出しており、行ごとに条番号を付けている。
既定の入力
直前3か月の賃金総額 900,000円/その期間の総日数 92日/その期間の労働日数 60日/賃金の定め方 全部を月給など、一定の期間で定めている/うち一定の期間で定めた部分 0円
| 項目 | 金額 | 条番号 |
|---|
| 原則(3か月の賃金総額 ÷ 総日数 92日) | 9,782円 | 労働基準法第12条第1項 |
| 平均賃金 | 9,782円 | 労働基準法第12条第1項 |
| 休業手当(1日あたり・平均賃金の60%) | 5,869円 | 労働基準法第26条 |
| 解雇の予告をしない場合の手当(平均賃金の30日分) | 293,460円 | 労働基準法第20条第1項(予告した日数の分だけ短縮できる(労働基準法第20条第2項)) |
- 円未満は切り捨てている。労働基準法第12条に端数の定めは無い
月給(原則の計算)
直前3か月の賃金総額 900,000円/その期間の総日数 92日/その期間の労働日数 60日/賃金の定め方 全部を月給など、一定の期間で定めている/うち一定の期間で定めた部分 0円
| 項目 | 金額 | 条番号 |
|---|
| 原則(3か月の賃金総額 ÷ 総日数 92日) | 9,782円 | 労働基準法第12条第1項 |
| 平均賃金 | 9,782円 | 労働基準法第12条第1項 |
| 休業手当(1日あたり・平均賃金の60%) | 5,869円 | 労働基準法第26条 |
| 解雇の予告をしない場合の手当(平均賃金の30日分) | 293,460円 | 労働基準法第20条第1項(予告した日数の分だけ短縮できる(労働基準法第20条第2項)) |
- 円未満は切り捨てている。労働基準法第12条に端数の定めは無い
日給・時給で労働日数が少ない場合(最低保障)
直前3か月の賃金総額 300,000円/その期間の総日数 92日/その期間の労働日数 30日/賃金の定め方 全部が日給・時給・出来高払制など/うち一定の期間で定めた部分 0円
| 項目 | 金額 | 条番号 |
|---|
| 原則(3か月の賃金総額 ÷ 総日数 92日) | 3,260円 | 労働基準法第12条第1項 |
| 最低保障(賃金総額 ÷ 労働日数 30日 × 60%) | 6,000円 | 労働基準法第12条第1項第1号(賃金が日給・時給・出来高払制などで定められた場合) |
| 平均賃金 | 6,000円 | 労働基準法第12条第1項第1号(原則より最低保障のほうが高いので、こちらを使う) |
| 休業手当(1日あたり・平均賃金の60%) | 3,600円 | 労働基準法第26条 |
| 解雇の予告をしない場合の手当(平均賃金の30日分) | 180,000円 | 労働基準法第20条第1項(予告した日数の分だけ短縮できる(労働基準法第20条第2項)) |
- 円未満は切り捨てている。労働基準法第12条に端数の定めは無い
一部だけ月給の場合
直前3か月の賃金総額 600,000円/その期間の総日数 92日/その期間の労働日数 40日/賃金の定め方 一部だけ月給など一定の期間で定めている/うち一定の期間で定めた部分 300,000円
| 項目 | 金額 | 条番号 |
|---|
| 原則(3か月の賃金総額 ÷ 総日数 92日) | 6,521円 | 労働基準法第12条第1項 |
| 最低保障(期間で定めた部分 ÷ 総日数 + 第1号の金額) | 7,760円 | 労働基準法第12条第1項第2号(賃金の一部が月・週その他一定の期間で定められた場合) |
| 平均賃金 | 7,760円 | 労働基準法第12条第1項第2号(原則より最低保障のほうが高いので、こちらを使う) |
| 休業手当(1日あたり・平均賃金の60%) | 4,656円 | 労働基準法第26条 |
| 解雇の予告をしない場合の手当(平均賃金の30日分) | 232,800円 | 労働基準法第20条第1項(予告した日数の分だけ短縮できる(労働基準法第20条第2項)) |
- 円未満は切り捨てている。労働基準法第12条に端数の定めは無い
- 条番号
- 労働基準法第12条・第26条・第20条
- 適用
- 労働基準法第12条・第26条・第20条
- 出どころ
- 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)
- 適用年度
- 労働基準法 2026-07-17 施行(改正版 322AC0000000049_20260717_508AC0000000060)
- 取得日
- 2026-10-04
この計算は 2026-10-04 に取った条文で動いています。 それより後に改正があれば、反映されていないことがあります。労働基準法 で今の条文を確かめられます。
有資格者の監修は受けていません。ここに出る金額は、申告・届出・請求に用いる金額そのものではありません(運営者情報)。
確かめ方弱 3か月・60%・30日(検算の3つの強さの違い)
どこまでを計算しているか
業務上の傷病による休業・産前産後の休業・使用者の責による休業・育児休業・介護休業・試みの使用期間は、日数と賃金の両方を控除して計算する(労働基準法第12条第3項)。臨時に支払われた賃金と3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は、賃金の総額に算入しない(同条第4項)。この道具は、それらを除いたあとの総額と日数を入れる形にしている。
条文
労働基準法(2026-07-17 施行)から取りました。905字。
この計算が使う条文は、2024年4月1日時点から変わっています。 文字が変わったことだけを確かめています。答えが変わるかは別です(時点ごとに何が変わったか)。
労働基準法第12条・第26条・第20条 を開く
第十二条この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。ただし、その金額は、次の各号の一によつて計算した金額を下つてはならない。一賃金が、労働した日若しくは時間によつて算定され、又は出来高払制その他の請負制によつて定められた場合においては、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の百分の六十二賃金の一部が、月、週その他一定の期間によつて定められた場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と前号の金額の合算額前項の期間は、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算する。前二項に規定する期間中に、次の各号のいずれかに該当する期間がある場合においては、その日数及びその期間中の賃金は、前二項の期間及び賃金の総額から控除する。一業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間二産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業した期間三使用者の責めに帰すべき事由によつて休業した期間四育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)第二条第一号に規定する育児休業又は同条第二号に規定する介護休業(同法第六十一条第三項に規定する行政執行法人介護休業及び同法第六十一条の二第三項に規定する介護をするための休業を含む。第三十九条第十項において同じ。)をした期間五試みの使用期間第一項の賃金の総額には、臨時に支払われた賃金及び三箇月を超える期間ごとに支払われる賃金並びに通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないものは算入しない。賃金が通貨以外のもので支払われる場合、第一項の賃金の総額に算入すべきものの範囲及び評価に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。雇入後三箇月に満たない者については、第一項の期間は、雇入後の期間とする。日日雇い入れられる者については、その従事する事業又は職業について、厚生労働大臣の定める金額を平均賃金とする。第一項乃至第六項によつて算定し得ない場合の平均賃金は、厚生労働大臣の定めるところによる。
平均賃金の計算は、これを算定すべき事由の発生した日以前3か月間を対象にする。その期間に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で割った金額が平均賃金である(労働基準法第12条第1項)。
割るのは暦の総日数であって、労働日数ではない。
賃金の定義
賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう(労働基準法第11条)。
名称は問わない。 労働の対償であるかどうかで決まる。
原則と最低保障の2段構え
平均賃金は、算定すべき事由の発生した日以前3か月間に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額である(労働基準法第12条第1項)。
ただし、次の額を下回ってはならない(同項ただし書)。
| 号 | どんな賃金か | 最低保障額 | 条番号 |
|---|
| 第1号 | 日給・時給・出来高払制その他の請負制 | 賃金の総額 ÷ 労働した日数 × 100分の60 | 労働基準法第12条第1項第1号 |
| 第2号 | 一部が月・週その他一定の期間で定められた場合 | その部分の総額 ÷ 総日数 + 第1号の額 | 同項第2号 |
原則は「総日数」で割り、最低保障は「労働した日数」で割る。 分母が違う。日給や時給の人は働いていない日があると原則の額が小さくなるので、最低保障が効く。
月給だけで定められている場合、第1号にも第2号にも当たらないため最低保障は働かない。
このページは3つとも計算する。「一部だけ月給など」を選んだときは、そのうち一定の期間で定めた部分の額を入れる(労働基準法第12条第1項第2号)。
除外する期間が5つある
次の期間がある場合、その日数と賃金を期間と賃金の総額から控除する(労働基準法第12条第3項)。
| 号 | 期間 |
|---|
| 第1号 | 業務上負傷し、または疾病にかかり療養のために休業した期間 |
| 第2号 | 産前産後の女性が第65条の規定によって休業した期間 |
| 第3号 | 使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間 |
| 第4号 | 育児休業・介護休業をした期間 |
| 第5号 | 試みの使用期間 |
日数も賃金も両方を引く。 片方だけ引くと額が変わる。
算入しない賃金が3つある
賃金の総額には、次のものを算入しない(労働基準法第12条第4項)。
| 算入しないもの | 条番号 |
|---|
| 臨時に支払われた賃金 | 労働基準法第12条第4項 |
| 3か月を超える期間ごとに支払われる賃金 | 同項 |
| 通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないもの | 同項 |
3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は、賃金の総額に算入しない(労働基準法第12条第4項)。賞与がこれに当たるかは、支払われる期間で決まる。
起算日は賃金締切日から
賃金締切日がある場合、期間は直前の賃金締切日から起算する(労働基準法第12条第2項)。
事由が発生した日からさかのぼるのではない。 締切日で区切る。
雇入れ後3か月に満たない場合
雇入れ後3か月に満たない労働者については、その期間は雇入後の期間とする(労働基準法第12条第6項)。3か月に満たなくても計算できる。
何に使うか
労災の給付基礎日額は、労働者災害補償保険法第8条が労働基準法第12条の平均賃金を引いている。労災の休業補償給付を参照。
年次有給休暇の期間について支払う賃金も、平均賃金を選ぶことができる(労働基準法第39条第9項)。
休業手当は平均賃金の60%以上
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合、使用者は休業期間中の労働者に、平均賃金の60%以上の手当を支払わなければならない(労働基準法第26条)。
条文は「百分の六十以上」と書いている(労働基準法第26条)。60%はあくまで下限である。
休業手当と休業補償は別のもの
率はどちらも平均賃金の100分の60だが、休業手当のほうは下限の形で書かれている(労働基準法第26条・第76条第1項)。
| 給付 | 何に対して | 率 | 条番号 |
|---|
| 休業手当 | 使用者の責めに帰すべき事由による休業 | 平均賃金の100分の60以上 | 労働基準法第26条 |
| 休業補償 | 業務上の負傷・疾病による療養のための休業 | 平均賃金の100分の60 | 労働基準法第76条第1項 |
同じ60%でも、条も原因も違う。 休業補償は労災保険から給付が行われれば使用者は免れる(労働基準法第84条第1項)。
解雇の予告手当は平均賃金の30日分以上
使用者は、労働者を解雇しようとする場合には少なくとも30日前に予告しなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない(労働基準法第20条第1項)。
予告の日数は、1日について平均賃金を支払った場合には、その日数を短縮できる(労働基準法第20条第2項)。たとえば10日前に予告すれば、支払うのは20日分になる。
第1項が適用されない場合が2つある(労働基準法第20条第1項ただし書)。天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合と、労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合である。どちらも行政官庁の認定を受けなければならない(同条第3項・第19条第2項)。
端数の扱いは条文にない
労働基準法第12条には、割った答えに1円未満が出たときの定めが無い。このページは円未満を切り捨てている。これは条文から出したものではない。
よくある取り違え
1. 「平均賃金は月給の日割り」
3か月間の賃金の総額を総日数で割る(労働基準法第12条第1項)。稼働日数ではなく暦日数である。
2. 「最低保障も総日数で割る」
労働した日数で割る(労働基準法第12条第1項第1号)。分母が違う。
3. 「賞与も賃金の総額に入る」
3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は算入しない(労働基準法第12条第4項)。
4. 「休業手当と休業補償は同じもの」
別である(労働基準法第26条・第76条第1項)。原因が違う。
5. 「起算は事由の発生日から」
賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切日から起算する(労働基準法第12条第2項)。
よくある質問
日雇いの場合は
厚生労働大臣の定める金額を平均賃金とする(労働基準法第12条第7項)。
算定できない場合は
厚生労働大臣の定めるところによる(労働基準法第12条第8項)。
通勤手当は入りますか
労働基準法第12条第4項は臨時に支払われた賃金などを除いているだけで、通勤手当を除いていない。 割増賃金の基礎(同法第37条第5項)とは扱いが違う。時間外・休日・深夜の割増賃金を参照。
解雇予告手当は何日分ですか
30日分以上である(労働基準法第20条第1項)。予告した日数だけ短縮できる(同条第2項)。
端数はどうしますか
労働基準法第12条には端数の定めが無い。
休業手当は1日単位ですか
労働基準法第26条は「休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない」と書いている。
この計算が扱っていないこと
- 日雇いの平均賃金(労働基準法第12条第7項)
- 算定できない場合(同条第8項)
- 通貨以外で支払われた賃金の評価(同条第5項)
- 労災の給付基礎日額の最高限度額(労働者災害補償保険法第8条の2)
関連する計算
同じ束のものと、同じ法令によるものを並べています。
この計算を何と突き合わせているか いつの条文で計算するか 計算の一覧